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看取りとは?介護施設での看取り介護への移行と対応を解説

看取りとは?介護施設での看取り介護への移行と対応を解説

看取り前の徴候や看取りを行うにあたっての事前の介護施設での体制作りなどを解説します。
看取り介護や緩和ケアターミナルケア、エンゼルケアの用語の違いについても紹介しています。

目次

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1. 看取りの意義とその役割

誰しもこの世を去る時が来ます。それは避けられない自然の摂理であり、介護現場でも精神的に最も辛く、悲しい瞬間です。

看取りは、ただ単に生命の終焉を見守るだけではありません。
人が亡くなる瞬間に立ち合うことを「看取る」と表現しますが、「看取り」とは、最期を迎える前から看病し、寄り添うという意味が込められています。

看取りの読み方は「みとり」です。

看取りの重要性は計り知れません。最期の時を迎える際に、その支えやケアが適切に行われることは、本人や家族の心の安定や尊厳を守る上で不可欠です。看取りはただ時間を過ごすだけではなく、緩和ケアや心のケア、尊厳ある最期を迎えるための環境づくりが求められます。

看取りは、本人の意向や希望を尊重することが前提として必要です。また、医療や介護のプロフェッショナルが連携し、症状の管理や生活の質を最善に保つためのサポートを行います。また、家族や関係者も看取りに向けた準備と心の準備を整えることが大切です。

看取りと似た用語で「看取り介護」「ターミナルケア」「緩和ケア」「エンゼルケア」「グリーフケア」があります。その違いや定義は何でしょうか。

看取り介護

介護現場にて、施設のご利用者様が亡くなる瞬間までその人らしい尊厳のある生活を置くれるよう介護をすることを指します。最期を迎えるそのときまで、食事や排泄の介護といった日常の支援を行います。経鼻栄養や点滴を打つような医療行為による治療の延命は含まれません。ご本人が心地いいと思われるケアを、心を込めて丁寧に行います。その毎日の積み重ねが看取り介護であると言えます。ご本人の状態を随時ご家族に説明し、ご本人・ご家族の意向を確認し、話し合い、合意を得ながら進めていきます。

ターミナルケア

看取り介護に対し、身体を蝕む痛みや苦しみ、精神的な苦痛を取り除くため医療を中心としたケアを行うのがターミナルケアです。死期が近い終末期の方に対し、無理な延命治療は行わず、恐怖を和らげ、自分らしい生活を送り、尊厳を保ちながら安らかに最期を迎えるサポートを行います。「終末期医療」や「終末期看護」とも呼ばれます。

緩和ケア

身体の病気の治療と並行して、身体的痛みや精神的な苦しみ、心理社会的苦痛、スピリチュアルペインを和らげ、生活の質を向上させるためのケアです。 緩和ケアについては診断のタイミングから始まります。 「残された時間を過ごす辛さ」「自分らしさとの葛藤」「死への思い」「生きたい思い」「人生の振り返り」など非常に繊細な問題に寄り添いサポートします。

ターミナルケアが「死」へ焦点を当てているのに対し、緩和ケアは「生き方」に注目しています。

エンゼルケア

逝去時ケアとも呼ばれ、亡くなった後に行う処置、保清、故人が穏やかで自然な表情でお別れができるように行うメイクなど、全ての死後のケアを指します。

グリーフケア

グルーフとは、大切な人を失った時に起こる身体的・精神的な様々な変化であり、喪失した際に生じる「悲嘆」のことです。
グリーフケアとは、大切な人を亡くされたご家族に寄り添い、深い悲しみに対処するため支援することを指します。

 

2. 看取りの場所とその変遷

看取りはどこで行っているでしょうか。

下記は厚生労働省による令和5年度「人口動態」資料の「死亡数・構成割合、死亡場所×年次別」から抽出したグラフです。

死亡場所の年次別

参照元:厚生労働省「厚生統計要覧(令和5年度)」第2章人口動態 死亡数・構成割合、死亡場所×年次別

自宅での看取りの割合は2000年と2022年の比較では変わっていない状況です。

最期を迎える場所が2000年では病院がメインであったのに対し、2022年では介護老人保健施設や老人ホーム、介護医療院などの割合が増えています。

介護報酬改定により2006年から看取り加算が開始されたこともあり、介護施設での看取りを行うことが増えているのです。住み慣れた暮らしの場である介護施設での看取りは今後も望まれる方も多く、将来さらに増えていくことでしょう。

特別養護老人ホーム、「終の棲家」とも呼ばれており、特養の多くの施設では看取を受け入れています。そのほかの施設としては、有料老人ホームやグルーフホームがありますが、サービス付き高齢者向け住宅でも看取りを行っている施設もあります。

介護施設で看取りを行うためには、医師、看護師、介護士、ケアマネジャー、栄養士など様々な職種の職員、医療機関との協力が不可欠です。

在宅での看取りを行う場合は、介護支援専門員、医師、訪問看護師、訪問介護員、状況によっては療法士、薬剤師、栄養士等と協働してケア計画を作成します。

 

3. 看取りを行うための施設体制

看取りを行うには、施設の体制構築が欠かせません。医師や看護師などの人材を確保し、安心して生活できる環境を提供します。日常のケアでは多職種の協力が重要ですが、看取りの際には、より密な多職種の連携が求められます。全職員が一丸となって、本人が穏やかに最後を迎えられるよう支援することが大切です。そのためには、看取りを行う上で必要な情報について、職員間で共通の理解を持つことが重要です。

 

職員向けの研修

職員の中には、人の死や看取りに関する経験が豊富な人ばかりではありません。そのため、職員向けの看取りに関する研修は非常に重要です。研修では、看取りに対するイメージを共有したり、職員自身が考える機会を持つことも重要です。そうすることで、徐々に死生観を形成し、看取りを行う際に、本人が最後を迎えるための支援が可能になります。
また、職員間で看取りの方針や理念、ケアについての共通理解を持つことも重要です。職員が看取りの方針やケアについて理解し、共通の認識を持ちつつ、同じ態度で対応することで、本人や家族が安心して最後の時間を過ごすことができます。
施設内での研修を計画・実施するだけでなく、必要に応じて外部講師による研修会や、外部団体が実施する研修会への参加も行い、意思決定の支援や多職種連携の重要性、各職種の役割などを学びます。

看取り後は、疲労感が強く、看取りを行った職員の精神的負担への配慮も重要です。職員自身が看取りの経験を前向きに捉えられるよう、施設全体で情報を共有し、職員を支援しましょう。
利用者が亡くなられたことによる不安定な気持ちがないか職員の状況を理解することが必要です。
個別面談によるケアや職員間でのケースカンファレンスを行い、看取りを行った時の思いを含めて職員間で話し合うことや、職員のメンタルケアを行う専門家からアドバイスを受けるなど、施設として職員のメンタルケアを行う体制を整えることが重要です。

 

看取りの事前の意思確認

医師や医療従事者から情報提供と説明を受け話し合いを行い、自分らしい最期の迎え方について、本人の意思に基づき家族の合意が尊重された上で医療やケアを勧めていくことが最も重要です。

 

介護施設における看取りの同意

参照元:「介護施設における看取り介護の手引き~現場力を高める~」(埼玉県福祉部地域包括ケア課)

本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性もあるため、家族や親族等を含めて、医療やケア等について、事前に話し合いを繰り返しすることが大切になります。 時間の経過、本人の心身の変化等に応じて本人の意思が変化する可能性もあるため、その都度話し合いを実施すること、本人の意思、同意を共有しておくこと、その内容をその都度文書に残しておくことが大切です。
また、家族の意向を確認する場合は、主となる介護者だけでなく、その他の遠方にいる家族や親族との考え方や意見が具体的にまとまっているのかを確認しておくと良いでしょう。
本人の意思を尊重するため、本人のこれまでの人生観や価値観、どのような生き方を望むかを含めて、出来る限り本人のことを把握し、本人の意思に沿ったケアを行え るようにすることが大切になります。

 

介護施設における看取りの同意

参照元:介護施設の看取りに関する手引き(長崎県県南保健所)

 

4. 看取りへの移行と徴候

看取りとは、いつから始まるものでしょうか。

医師が回復不可能な状態と判断してから、看取り介護が始まります。介護施設で看取りの対象となる方は、老衰や認知症の末期の方が多く、スロープを降りるように緩やかに看取りに向かう場合が多いです。

看取りには、「安定期」、「不安定期」、「介護期」と3つの期間が分かれています。

看取り安定期は、この期間中、患者の症状は比較的安定しています。しかし、それは病状が改善しているわけではなく、病気が進行しているにもかかわらず、症状が一時的に安定している状態を指します。

看取り不安定期とは、患者の症状が急速に変化し、新たな症状が出現したり、既存の症状が悪化したりします。

看取り介護期とは、患者が最終的に亡くなる直前の期間を指します。この過程で、患者の身体的な症状はさらに悪化し、意識レベルが低下することが多いです。患者の苦痛を軽減し、家族をサポートするための適切なケアが必要となります。

では、看取り前の特徴として詳しくはどのようなことがあるのでしょうか。また、介護スタッフは何に気をつければ良いのでしょうか。

以下は、東京都福祉局「施設での日常から看取りを支えるパンフレット 」の内容です。 看取り前には以下のような徴候が見られます。

PS(パフォーマンスステータス)とは全身状態の指標の一つで、日常生活の制限の程度を示します。PSが低下し、水分をとることが難しくなり、意識レベルが低下してきた場合、一週間以内に亡くなる可能性が高い徴候と言われています。
また、死亡当日の徴候として呼吸や循環に症状が出ます。

 

看取り前の徴候

参照元:施設での日常から看取りを支えるパンフレット (東京都福祉局)

さらに看取りまでの症状の変化は以下です。

看取りまでの症状の変化

参照元:施設での日常から看取りを支えるパンフレット (東京都福祉局)

亡くなる1週間前は「意識の混濁やせん妄」が見られ、だんだんと眠っている時間が長くなり、「嚥下困難」や「尿量の減少」などの症状が見られます。

1・2日前から数時間前には、声をかけても目覚めなくなる「昏睡」、喉元でごろごろと音が聞こえる「死前喘鳴」、浅い呼吸と深い呼吸をサイクルで繰り返し無呼吸になる「チューンストーク呼吸」が起きることが多いです。

亡くなる数時間前には、血圧が下がり、循環が悪くなるため四肢冷感やチアノーゼ、動脈検知が出来なくなるなどの症状になります。

利用者、入居者の家族へは変化に合わせて説明が必要です。

 

看取り介護期の苦痛とは

看取り介護の際、利用者はそのような苦痛を抱えているのでしょうか。 看取り介護期間中の苦痛として以下があげられます。 飲み込めない、むせてしまうなど「嚥下障害による苦痛」 「繰り返す肺炎などによる呼吸困難や喀痰などの苦痛」呼吸が十分にできない苦しさや痰がだせない苦しさ。 「長期臥床に伴う褥瘡や拘縮などの苦痛」関節の周囲にある筋や腱なども固まってしまい、圧迫状態が続くと血流障害により褥瘡が起こり、辛い痛みがあります。

看取り介護時の苦痛

参照元:東京都福祉保健局「施設での日常から看取りを支えるパンフレット」

入所者の中には自らの痛みや苦しみを訴えることが難しい方も多くいます。そのため、介護者が積極的に観察し、気づいてあげることが重要です。

 

5. 介護施設での看取りの連携

介護施設では、専門的な看取り介護が行われます。看護師や介護スタッフは、患者の状態を常にモニタリングし、症状の管理や緩和ケアを行います。痛みや不快感の軽減、心のケア、そして家族とのコミュニケーション支援が重要な役割です。

スタッフは患者と家族に寄り添い、最期の時間を穏やかに過ごせるよう努めます。また、医師や専門家と連携しながら、最適な治療やケアプランを立てています。看取りのプロセスでは、患者や家族のニーズに応じた個別のサポートが提供されます。

看取りにおける医療との連携

看取りにおける医療との連携は非常に重要です。終末期には症状管理や痛みの軽減が必要となるため、医師や医療スタッフとの密接な連携が不可欠です。医療チームは、病状のモニタリングや適切な薬物療法を通じて、本人の苦痛を軽減し、最期への支援をします。

また、医療と看取りケアは緊密に連携しながら行います。本人や家族の希望や意向を尊重しつつ、最善の治療とケアを提供するために、定期的な情報共有や連絡体制の整備が重要です。これによって、本人の尊厳を守りながら、看取りケアが円滑に行われます。

看取り期は介護職と医療職の連携は、特に重要です。職員間の意見の調整は、一定の立場にある職員が担うと良いでしょう。

看取りに期間の平均はあるのでしょうか。人それぞれの身体状態や年齢によって要因が異なり、数週間の場合もありますし、数か月の場合もあります。

しかし、看取りの加算に対しては明確に決められた期間があります。
看取りを実施し、要件を満たしている場合に、看取り介護加算、ターミナルケア加算を取得することができます。 加算の場合は、死亡日を起点に算定します。死亡日45日前より加算の対象となります。

 

見守りライフ活用可能な機能

少し前のデータではありますが、埼玉県が介護施設での看取り時間の傾向を調査した資料があります。
それによると看取り時間の傾向として夜間帯に亡くなる方が多いというデータがでています。不安な夜間の見守りも見守りライフが活躍します。

看取り時間の傾向

参照元:介護施設における看取り介護の手引き~現場力を高める~(埼玉県福祉部地域包括ケア課)

見守りライフは、ベッド上の現在の情報をリアルタイムで表示し、さらにバイタルの検知が可能です。呼吸や脈拍に異常が出た際にアラートを職員に通知してくれます。
実際に見守りライフを導入し、これらの機能を活用し看取りへの対策、活用をしている施設があります。

▼こちらの事例もご覧ください

見守りライフ看取り活用事例

 

6. 看取りと社会的責任

看取りとは

 

看取りは、社会的に非常に重要な役割を果たしています。最期を迎える際には、その人の尊厳や安心を守ることが求められます。
近年、日本では高齢化が進み、終末期を迎える人口も増加しています。このため、看取り介護の需要がますます高まっています。

しかし、現状では看取りの提供体制には課題も存在します。まず、専門的な看取りケアを提供できる施設や専門家の不足があります。また、看取りに関する正しい情報や教育が不十分なケースも見られます。さらに、家族の負担や精神的な苦痛も課題として挙げられます。これらの課題を解決し、看取りケアの質の向上が求められています。

今後はテクノロジーの活用も重要なポイントです。見守りシステムやバイタル通知ができる機器の導入により看取りケアの効率化や質の向上に貢献することが期待されます。

「看取り」は社会全体が関わるべき課題であり、社会的な責任、尊厳ある最期を迎える権利でもあります。医療機関、介護施設、地域社会、家族、そして個々が終末期の人々が尊厳をもって最期を迎えられるように適切なケアやサポートを提供する責任があります。個々の人々だけではなく、社会全体が関与し、協力して取り組む課題であり、それそれが果たすべき役割があります。それぞれの立場から、最善のケアを提供し、人々が安心して最期を迎えられる社会を実現することが社会全体の責任です。

より包括的で個々に適した看取りケアが提供され、誰もが安心して最期を迎えられる社会を実現しましょう。

 

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