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介護施設のICT化を進めるには?具体例とポイントを解説

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介護施設のICT化を進めるには?具体例とポイントを解説

ICTとは、Information and Communication Technologyの略称のことです。デジタル機器やソフトウエア、通信ネットワークなどの情報技術を指す「IT」に、インタラクティブな意思疎通である「C」がプラスされたシステムやサービスの総称を指します。

さまざまな業界でICT化が進むなか、コロナ禍での介護・医療現場では、利用者との接触をできるだけ少なくしつつも、円滑に業務が回るような取り組みがなされていました。具体的にどのようなICT化が介護現場で進んでいたのか。詳しく見ていきましょう。

目次

  1. 1.介護現場でICT化が求められる理由は?
  2. 2.介護施設のICT機器導入率
  3. 3.介護ICTのメリットとデメリット
  4. 4.介護のICT導入事例
  5. 5.介護のICT導入のポイントとは
  6. 6.介護現場のICT化には見守りライフがおすすめ

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1.介護現場でICT化が求められる理由は?

「我が国では少子高齢化が進行しており、今後も人口減少が続くことが見込まれている。特に生産年齢人口(15歳~64歳人口)の減少は、労働供給の減少、将来の経済や市場規模の縮小による経済成長率の低下などに影響することが懸念されており、労働生産性の向上、労働参加の拡大などが急務となっている。」

これは2023年に総務省が発表した「令和5年版 情報通信白書」の一文です。ICTは、少子高齢・人口減少社会の課題解決に大きな役割を担っています。AIやロボットなどの活用によって業務効率化を図るのが狙いです。

介護業界でもICT化が求められる理由の多くは、人材不足です。人材不足がもたらす問題は、職員の負担が増えることにとどまりません。職場環境の悪化によってケアの質が低下したり、さらには職員の離職が増加したりなど、職場内で悪循環をもたらします。

また厚生労働省は2022年、団塊の世代が75歳以上となる2025年には32万人もの介護人材不足が生じると発表しました 。 その不足を補うために着目されているのがICT・介護ロボットの活用です。 人間以外でも実施できる作業、または人では感知できない作業をICT・介護ロボットに任せ、人と人との間でしか成り立たない本質的なサービスに注力する。現場の負担を減らすことで、人材不足の解消、介護のケア品質の向上につなげていく。このようにいま、介護現場でICTの積極的な活用が求められています。

それではICT化することで、現場の負担が減る介護業務にはどのようなものがあるのでしょうか。

1)情報の共有

少し前までは、ファイルやバインダーに挟んだ紙に利用者の様子をボールペンで書き込む介護職員の姿がよく見られました。しかしiPadなどを利用し、ペーパーレス化を図ることで、施設のスタッフ間や外部のケア関係者との情報共有が正確に、しかも簡単にできるようになります。職員がそれぞれ手持ちの機器を使って閲覧するため、スタッフ間の情報共有がよりスムーズになるのです。

また、高齢者の身体状況は刻々と変わっていきます。食事の残量、排せつ状況、服薬情報など、細かな情報共有が各々の端末でできるようになるため、きめの細かいケアへと結びつくのです。

2)データ活用

介護施設で働く職員の経験年数や保有資格、スキル、得意分野・不得意分野といったパーソナルデータを一元化管理するだけでなく、活用することができるようになります。

具体的には、効率的な業務分担が組みやすくなる。急ぎのお知らせ、業務マニュアルなどの更新が簡単となり、職員は場所を選ばずに確認することができる。新たな資格取得に伴う更新作業などで、職員のパーソナルデータの漏れや間違いがなくなるなどの効果が期待できます。

3)勤怠管理

日中、夜勤勤務などさまざまな働き方を要する職員の出退勤記録やシフト管理は、介護施設の大きな仕事の1つです。ICTを導入すると、シフトの作成業務が軽減できます。さらに各職員の勤務時間や時間外手当、休暇状況の管理が簡単となり、年末調整の手続きなどもスムーズになります。

4)職員同士のコミュニケーション

施設にICT化を取り入れることで、スタッフ間のコミュニケーションが円滑になります。Zoomなどのオンライン会議ツールやチャット機能を駆使すれば、日常の業務連絡や打ち合わせも場所を選ばなくなり、施設全体で徹底する事案を一斉連絡することができます。

また災害時におけるスタッフ間の連絡や利用者の安否確認、関係機関先との遠隔打ち合わせなど、それぞれが離れた場所にいても「素早く」「正確」な情報を「一斉に」共有することが可能となります。さらに、コミュニケーションがとりやすくなることで、人間関係の改善も期待できます。


2.介護施設のICT機器導入率

介護施設のICT機器の導入率はどのような状況なのでしょうか?公共財団法人介護労働安定センターが公表した、令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要についてによると、8,742事業所のうちパソコンで利用者情報(ケアプラン、介護記録等)を共有していると回答した割合は52.8%で、昨年対比で2.4ポイント(昨年:50.4%)。「記録から介護保険請求システムまで一括している」が 42.8%(同 39.1%)、「タブレット端末等で利用者情報(ケアプラン、介護記録等)を共有している」が 28.6%(同 22.0%)とICT機器の導入率は上昇傾向にあることが分かります。

では、サービス種類別のICT機器の導入率に違いがあるのかを見ていきましょう。厚生労働省が令和2年に調査した「介護現場におけるICT環境の整備状況等に関する実態調査 概要」によると、すべてのサービス種類の5割超で介護ソフトを導入しており、特に法人の売上高が高い施設・事業所ほど高い傾向があります。一方で、介護療養型医療施設や認知症対応型共同生活介護等のサービスでは、4割強が導入していないとの結果が出ました。介護ソフトなどのICT機器の導入をしていない理由には、導入コストが高いことが上げられます。

サービス全体として、介護のICT機器の導入が普及している一方で、細かいサービス種類で見ていくと導入コストによって導入を見送るケースがあるようです。このような課題に対して国は、補助金などの公的な補助制度を推進していますが、実際に活用している割合は多くないようです。介護ソフトの導入にあたっての公的な補助制度を活用は「いいえ」が「はい」を大きく上回っており、特に「定期巡回・随時対応型訪問看護」では29.6%と他サービスより上回っている現状にあります。介護現場のICT導入率をより高めていくためには、補助金を上手に活用していくことも課題になるでしょう。


3.介護ictのメリットとデメリット

介護現場へのICT化は、その規模によって導入の仕方が変わってきます。


小規模施設…勤怠などの事務系業務のみでソフトウエアを使う

中規模施設…事務局内と一部の現場スタッフ

大規模施設…施設全体で導入

それでは、施設の規模に応じた介護ICTのメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット

【小規模施設でのICT導入】

導入が事務的なものに限られるため、事務作業における負担軽減が見込まれます。

・勤務時間、残業時間の削減

・転記ミスなどの些末な作業の削減

記録や情報共有の一括管理は、業務効率化、勤務時間の削減につながりやすいです。ICT化へ舵を切り始めた小規模な事業所にとっては、成果が出やすい内容です。


【中・大規模施設でのICT導入】

中規模以上の施設によるICT導入は、職員のみならず、利用者の方まで、幅広い人への効果を発揮します。

ケアの質の向上・業務効率化

見守り機器や排泄予測機器を用いることで、施設全体の業務効率化・ケア品質の向上が期待できます。また病気や服薬状況などの身体周りの情報だけでなく、利用者との会話で気づいた趣味や生い立ちといったパーソナルデータを手持ちの端末に即座に入力することで、より細かなケアが実現できるようになります。スタッフ間で情報共有することで、行き違いや伝達漏れなども少なくなるでしょう。

離職率の低下

公益財団法人 介護労働安定センターが2022年に発表した令和3年度「介護労働実態調査」によると、2021年の介護職に関する離職率は14.3%と徐々に減ってきている ものの、まだまだ入職3年以内の離職率は依然以前高いままです。

すべて目視での確認ではなく、ICTを利用してケアを楽にすることで、働きやすい職場づくりをアップデートしていく。それがやがて離職率の低下につながるのです。

利用者・家族の満足度向上

現場の負担が減り、スタッフが精神的にゆとりをもつことで、利用者に寄り添うケアが可能になります。利用者だけでなく、ご家族も安心感が得られることで、未来の利用者数も増えていくかもしれません。

デメリット

【小規模施設でのICT導入】

事務作業のICT化により、事務系職員や一部スタッフの負担を軽減することは可能です。しかし施設全体の業務負担削減までは難しく、部分最適にとどまるでしょう。

【中・大規模施設でのICT導入】

機器導入への不安

ICT機器導入後に、職員が日常的に使いこなせるかどうかが重要です。働く年齢層も様々である介護現場 では、機械に対し苦手意識をもつ職員も多いです。機器の利用方法が定着するまでサポートしてもらえるサービスを選ぶとよいでしょう。

初期費用の問題

中・大規模の施設で課題となるのが初期費用の問題です。介護ICTの活用を推奨している政府は、導入負担を軽減する多くの支援を実施しています。

「ICT導入補助金」とは、ICT機器や設備を導入するためにかかった費用を厚生労働省が補助する制度です。管轄する都道府県や市区町村の助成制度で利用できるものを確認し、スタッフの業務負担を減らしていくようにしましょう。


4.介護のICT導入のポイントとは

ICT導入で大事なことは、「導入・設置がゴールではない」ということです。むしろ新たなスタートとなります。最新機器の購入は、新しいシステムの運用が始まったのと同じ意味です。ICTを導入する前に、運用ルールや運用方法、場合によってはスタッフ研修を予定するなど、導入の目的を明確にしておきましょう。

また単純な作業効率化だけでは、ICTを充分使いこなせたとは言えません。ICTは情報共有、人の頭脳の代わり、コミュニケーションツールとして使いこなすことで、職員の業務にも余裕を生むようになります。データを運用して細かなケアの品質向上を目指したり、職員間のコミュニケーションを促したり、モチベーションを向上したり。離職理由に挙げられる人間関係の問題にまでICTの力がうまく作用すれば、導入の意味があったと言えるでしょう。


5.介護のICT導入事例

それでは介護の現場にICTはどのように導入されているのでしょうか。具体的な事例を紹介しましょう。

1)勤務シフトの自動作成

介護業界にかかわらず、勤務シフトをExcelで作成している会社は数多くあります。作成後も変更が多いため、担当者はその都度修正せざるを得ません。PCに慣れない年配職員もいるため、シフト業務が1人のスタッフに集中することが多いようです。

シフト管理システムを使用することで担当者が誰であっても、客観的で公平なシフトが作成できるようになります。しかも最小の労力で、公開シフトを作成できるため、作業時間が大幅に短縮できます。年配の職員であっても、業務を引き継ぐことができるようになりました。

2)グループ通話機能を活用 情報共有のICT化

介護施設でよく見られるのは、職員がPHSで連絡を取り合っている姿です。PHSでの連絡は1回の通話に対して、1人にしか情報共有ができません。

そこで日常的に使っているLINEのビジネス版を活用することで、職員間の連絡がスムーズになります。情報共有における個人の手間が大幅削減でき、レスポンスも早いため、問題が起きたときも素早い対応が可能になりました。LINEビジネス版のほか、ChatWorkやSlackなどを使用する場合もあります。

3)記録作業のクラウド化

施設に合った独自のシステムを構築。用途によってさまざまなソフトが使われていましたが、クラウド の登場によって一元管理できることになりました。

今まではケアプランとスケジュール管理はExcel、請求は別の会計ソフトと管理がバラバラになっていたものが、統一した様式でデータ管理できることによって、紙を使った記録が大幅に削減できました。またiPadなどの職員の持ち歩き可能なツールを利用して、現場発信で記録もできることに。外国人職員も定型文入力などがタブレットを用いて、記録が可能になりました。

4)見守り支援システムの活用

職員の人数が少ない夜勤帯での、利用者の転倒が問題となっていました。職員の精神的な負担の削減のため、見守りカメラを導入したところ、動いた瞬間に映像通知がなされることで、職員の訪室数が減りました。また、利用者の動きを察知しながらケアをすることで、職員の心に余裕ができました。


6.介護現場のICT化には見守りライフがおすすめ

前章の最後に見守り支援システムの導入事例がありました。ICT導入は、各施設にとって大きな設備投資になります。初期費用、ランニングコストがどれくらいかかるのか。さまざまな企業が提供する福祉機器を、費用や使いやすさ、精度の高さといったさまざまな角度から比較検討する。施設に課された大きな悩みです。

介護職員が大きく落ち込むのは、自ら担当しながらも、事故につながってしまったような事例です。特に夜勤帯での利用者のケアは、精神的にも肉体的にも疲労が大きく、利用者が動いてから居室に訪問しても、既に事故が起きていたということも少なくありません。

トーテックアメニティの「見守りライフ」は、ベッドの4つの脚に設置する荷重センサーです。ベッド下のセンサーマットと違い、利用者の体の重心移動によって、現在の状態を細かく知ることができます。

・臥床
・動き出し
・起き上がり
・ベッドの端に座る
・離床

通知は職員のスマートフォンに瞬間的に行われます。現状の体の位置から次の行動を携帯で予測ができるため、他の利用者のケア中であっても慌てなくなります。ICT化の真の目的は、便利の先にある職員の気持ちの余裕を生むことや、コミュニケーションの活性化、介護職場の環境がよくなることです。「見守りライフ」の利用は、介護ICT化の目的達成の第一歩となることでしょう。

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