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介護施設の人材不足を解消するには?原因と対策を解説

介護施設のICT化を進めるには?具体例とポイントを解説

2025(令和7)年は、団塊の世代が全て75歳以上となる年です。 厚生労働省が2023年2月に出した「ポスト2025年の医療・介護提供体制の姿(案)」によると、「全国的には2040(令和22)年頃に、高齢者人口がピークを迎える中で、医療・介護の複合的ニーズを有する高齢者数が高止まりする一方、生産年齢人口の急減に直面するという局面を迎える」とあります。 生産人口が急減する時代を迎える日本は、どの業界も人手不足になります。 とりわけ働く人が足りない介護施設における人材不足の原因と対策について見ていきましょう。

目次

  1. 1.介護業界は深刻な人手不足になっている
  2. 2.介護業界の人手不足の原因
    1. 2-1.少子高齢化
    2. 2-2.採用率の低下
    3. 2-3.高い離職率
  3. 3.介護施設の人手不足の対策
    1. 3-1.職場環境の見直し
    2. 3-2.外国人人材の受け入れ
    3. 3-3.介護関連資格取得の推奨
    4. 3-4.ictの活用
  4. 4.まとめ

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1. 介護業界は深刻な人手不足になっている

昭和や平成の初頭、核家族化が進んだものの、日本の介護はまだまだ家族や親族が主体となって行われていました。それが2000年から介護保険制度が導入され、来る高齢化社会に向け、介護のプロにケアを依頼し社会全体で介護をする仕組みが作られました。

公益財団法人介護労働安定センターが発表した「令和4年度介護労働実態調査」の「事業所における介護労働実態調査結果報告書」によると、最新の介護施設における人材不足の実態は下記のような結果が出ました。

参照元:公益財団法人 介護労働安定センター 「令和4年度介護労働実態調査事業所における介護労働実態調査結果報告書 」p.43

介護職員、介護支援専門員、看護職員、生活相談員など、介護施設でさまざまな雇用形態で働く職員の実感値として、全体の66.3%が従業員の不足を感じていました。それでは介護業界はなぜ人材不足に陥っているのか、具体的な内容を見ていきましょう。


2.介護業界の人手不足の原因

介護業界の人手不足に直結する原因として挙げられるのは、上述した日本全体で生産人口が減っている、人口減少の事実です。それとコインの表裏の関係にある、少子高齢化の問題があります。

2-1.少子高齢化

内閣府が2023年に発表した「令和5年版高齢社会白書」によると、今現在の日本の全人口の29.0%が65歳以上、15.5%が75歳以上。一方で、生産人口と呼ばれる15〜64歳人口は59.4%と既に6割を割り込んでいます。

高齢化社会で注目されるのは、人口の多い「団塊の世代」です。65歳以上人口は、「団塊の世代」が65歳以上となった2015(平成27)年に3,379万人となりました。また「団塊の世代」が全員75歳以上となる令和7年には、65歳以上人口はさらに増え、3,653万人に達すると見込まれています。その後も65歳以上人口は増加傾向が続き、2043(令和25)年には65歳以上人口が3,953万人でピークを迎え、その後は減少に転じると推計されています。


参照元:内閣府「令和5年版高齢社会白書」p.2

2-2.採用率の低下

公益財団法人介護労働安定センターが発表した「令和4年度介護労働実態調査」の「事業所における介護労働実態調査結果報告書」によると、介護職員、サービス提供責任者、訪問介護員のケアにおける3職種を合計した事業所の所在地(市区町村)別 採用率・離職率の結果は以下の通りです。

参照元:公益財団法人 介護労働安定センター 「令和4年度介護労働実態調査事業所における介護労働実態調査結果報告書 」p.38

事業所の所在地(市区町村)別の 3 職種合計の採用率は、横浜市・さいたま市などの「政令指定都市等」 が最も高く、17.6%でした。次いで「市・区」が 15.5%、「町・村、その他」が 12.6%でした。

では、上記の採用率がなぜ課題なのかを、経年推移から見ていきましょう。

「令和4年度介護労働実態調査」の「事業所における介護労働実態調査結果報告書」によると、訪問介護員と介護職員の採用率は、以下の緑色のグラフ「2職種計採用率」で最も採用率が高かった平成17年の28.2%から、令和4年度では16.2%へと大きく低下している傾向にあります。最も低スコアの令和3年度から1.00%の向上が見られるものの、全国的な採用難は続いている状態になります。

参照元:公益財団法人 介護労働安定センター 「令和4年度介護労働実態調査事業所における介護労働実態調査結果報告書 」p.38

上記の傾向が示すように、なぜ採用率の低下に陥っているのでしょうか。

「公共財団法人 介護労働安定センター」の「令和元年度労働実態調査結果について」によると、採用が困難であると回答した事業所が感じていることは以下になります。

同業他社との人材獲得競争が厳しい - 回答率57.9%

参照元:公益財団法人 介護労働安定センター 「令和元年度「介護労働実態調査」の結果」p.8

各介護事業所が人材獲得のために介護職員の処遇改善や働く環境の整備を行うことによって、介護職の応募者の就職条件基準が高くなり、より条件が整った事業所へ人が流れていくことが人材獲得競争が厳しくなっていることによって、介護職員の採用難につながっていると考えられます。

2-3.離職率の高さ

離職率が高いイメージがもたれる介護業界ですが、そもそもの人材不足は離職率によるものなのかを見ていきましょう。


※『令和3年度介護労働実態調査』(介護労働安定センター)、『令和3年雇用動向調査』(厚生労働省)より作成

上記は、2008年(平成20年)から2022年(令和4年)の全業種と介護職を比較した離職率の推移を表したグラフです。2008年(平成20年)では、全業種は14.6%ですが、介護職は18.7%と高い離職率でした。しかし、毎年のように離職率は低下していき、2022年(令和4年)では14.4%で、同年の全業種の離職率15.0%で全業種と比較しても低水準な離職率へ改善していることが分かります。

上記のことを踏まえると、介護業界は業界比較をしても決して離職率が高い分けでありませんが、前章でご紹介したように日本の高齢社会による介護を必要とする高齢者の増加に対して、介護職の人員数の絶対値が不足していることが、介護施設の人材不足に繋がっていると考えられます。

以下は、厚生労働省が2021年に発表した都道府県が推計した介護職員の将来的な必要数についての集計結果です。

2019年の介護職員数約211万人を基準として、2023年度、2025年度、2040年度の各年度別で、介護職員の必要数では、2023年では+22万人、2025年度は+32万人、2040年度は+69万人の介護職員の増加が必要であるとしています。


参照元:厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について 」別紙1

介護職員の採用が難しくなってきており、各事業者は離職率の低下のための処遇改善を進めている状況ですが、いかに今いる人材資源を活かして施設の運営を進めていくか、人材の定着率を高めていくかが、介護施設の人材不足の対策において重要な論点になるでしょう。


3.介護施設の人手不足の対策

介護施設の人材不足の原因について解説しましたが、介護が必要な高齢者に対して人材の絶対数が足りないということ、そのために採用率や定着率を高めていくための各事業者が取り組むべき対策はどのようなものがあるのでしょうか。具体的に解説していきます。

3-1.職場環境の見直し

公益財団法人介護労働安定センターによる「令和4年度介護労働実態調査」の「介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書」によると、介護職員の大きな悩みとして人間関係が挙げられています。

参照元:公益財団法人 介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書 」p.62

全体の20.3%の介護職員が「部下への指導が厳しい」と答え、15.0%が「上司や同僚との仕事上の意思疎通がうまく行かない」と回答しています。意思疎通に関しては対面だけでなく、LINEのビジネス版やChatWorkなどのチャットツールで文面に残すことで、ある程度のコミュニケーションが円滑になることもあります。

3-2.外国人人材の受け入れ

インドネシア・ベトナム・フィリピンなど、日本とEPA(経済連携協定)を結ぶ国が増えつつあります。それらの国々と技能実習、特定技能などの制度が次々と導入されており、介護の人材不足の打開策として、外国人の人材採用は1つの大きな力となるでしょう。

街中でかなり多くの外国人採用を目にするように、介護業界でも技能実習の制度を使って、言語面、技術面の齟齬を克服した優秀な外国人介護士がたくさんいます。彼らとともに働くことで、日本人同士ではなかなか生まれなかった新たな価値観が職場に生まれるかもしれません。

3-3.介護関連資格取得の推奨

前章で介護職の給与がなかなか上がらない現状を記しました。ただ介護職の中でスキルアップをすることで、給与を上げることは可能です。近年は、初任者研修、実務者研修、介護福祉士、介護支援専門員などの資格取得を奨励し、シフトの優遇をしたり、資格取得費用を支援したりする介護施設もあります。学費の返還免除制度まで設ける自治体もあるため、各自治体の支援制度などを取り入れて、介護職の中のステップアップの道を示すことが大切です。

3-4.ictの活用

介護施設の人材不足の対策には、介護ソフトや見守りシステムといったICTを活用することも重要です。

介護ソフトとは、主に介護スタッフの事務作業を効率化することに役立ちます。例えば、利用者の介護の記録やアセスメント管理、ケアプラン管理、業務報告書管理などのあらゆる事務業務がこれまで紙でバラバラに管理していたものが一つのソフトに集約して管理できるようになります。

一方で、見守りシステムとは介護利用者のベッドの足元や周辺にセンサー機器を設置し、介護ソフトと連携することによって、介護利用者のリアルタイムの情報を収集し、さらに介護ソフトに情報が蓄積されていくICTです。

例えば、夜勤帯の見守りにおける訪室対応は、ベッドからの転落、徘徊中での転倒など、さまざまな事故につながりやすく、スタッフが心理的にも身体的にも負担を感じている業務の1つです。

見守りシステムは、利用者の動きを瞬時に察知し、介護スタッフに通知が届くことによって、ヒヤリハットや大きな事故を防ぐことができます。また、居室内の利用者の状態を見える化できるため、夜間の巡視を削減できるなど、人材が不足している介護施設でも余裕を持った業務を行うことができます。

トーテックアメニティの「見守りライフ」では、ベッドの足元に敷くセンサーマットではなく、ベッドの4つ脚の下に設置する荷重センサーです。利用者がベッドから離床した際のアラートだけでなく、利用者がベッド上にいる際にどのような体勢を取っているのかを、スタッフが持つスマートフォンやタブレット・PC等から確認できます。

多くのセンサーマットが「在(臥床)」「離床」の2つの反応を示す反面、「見守りライフ」は「在(臥床)」「動き出し」「起き上がり」「ベッド端に座る(端座位)」「離床」の5つの体勢に反応。「離床」よりも前のタイミングで反応することで、余裕をもってスタッフが対応に向かえるようになります。早いタイミングで対応することで、センサーが反応した時に利用者が既に転んでいたという状況を防ぐことができます。

また、介護ソフトとの連携も幅広くできるため、多くの介護施設のICTの利用状況に合わせて柔軟に導入することができます。

介護施設のICT化で介護スタッフの人材不足の対策をするなら、介護スタッフが抱えるあらゆる業務を包括して効率化していくICTの活用が重要であり、見守りライフはその一助になるのです。


4.まとめ

介護人材の人手不足解消のため、介護施設の経営者がなすべき改善方法は、数多く考えられます。適切な評価制度を取り入れることで、介護職員のスキルアップをサポートする。そして、少しでも給料を上げる体制を整える。場合によっては、人材派遣サービスを積極的に活用して、職員の負担を少しでも軽減する施設もあるでしょう。そして人的なサポートだけでなく、積極的な介護ICTの導入による業務効率化で、職員一人ひとりの負担を軽減していくことも重要です。できるところから少しずつ取り組んで、人材不足を解消していきましょう。

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