インカムを介護施設で導入するメリットとは?

介護施設では、スムーズで迅速な情報共有は欠かせません。近年、多くの施設が「インカム」を導入し、職員間の連携強化に役立てています。本記事では、介護施設におけるインカムの導入メリットや活用方法についてご紹介します。
1. インカムの種類と違いとは
インカムにはさまざまな種類があり、介護施設のニーズや使用環境に合わせたものを選ぶことが重要です。また、同じ無線機器としてトランシーバーがありますが、インカムとの違いも理解しておくと便利です。
トランシーバーとの違い
インカムとは、正式名称「インターコミュニケーションシステム」の略称です。 トランシーバーとは送信と受信の両方ができ、電波を使って他者と対話する無線機です。インカムは、ヘッドセットが付いたトランシーバーの一種です。 トランシーバーは、機器を手に持って通信を行うのに対し、インカムはトランシーバーから接続したヘッドセットやイヤホンを装着しハンズフリーで通信できるものと分けられます。
インカムはトランシーバーと形状が異なるだけでなく、通信の仕方にも違いがあります。トランシーバーは通常、1人が発信者となりますが、インカムは誰でも発信できるため、複数人でのコミュニケーションが容易です。
介護施設の利用シーンにおいて、インカムのほうが使い勝手が良い場合が多いです。インカムは腰部分に小さな端末を付けるだけで基本的に「ハンズフリー」で通信ができるため、両手がふさがっていても会話ができるのが特徴です。一方、トランシーバーはボタンを押して通話を開始・終了する必要があり、手を使うことができない場面では少々不便です。
また、トランシーバーは一般的に広範囲での通信が可能で、インカムは施設内など限定されたエリアでの使用に適しています。介護施設では、限られたエリアでのリアルタイム通信が重要なため、インカムのほうがより機能的と言えます。
インカムの種類
イヤホン型
片耳に装着するイヤホン型のインカムは、耳にかけて音声を聞き、マイクで通話ができるタイプです。軽量で、耳の片方を自由にしておきたい場合に適しています。
ヘッドセット型
両耳に装着するヘッドセット型は、周囲の騒音が気になる場所でもクリアに音声が聞き取れるのが特徴です。長時間装着する場合には負担がかかることもありますし、介助を行う場合は外れやすいなどの問題があります。
ネックバンド型
肩や首にかけるネックバンド型は、耳や頭に直接触れないため、長時間の装着に適しています。耳への負担が少なく、持ち運びが便利な点も介護現場に向いています。
骨伝導型
イヤホンやヘッドセットと異なり、耳の外側に装着し耳を塞がないため、周囲の状況をよく認識することができます。そのため、利用者との会話もスムーズに行うことができ、違和感を抱きにくいです。さらに防水機能がついたものも多く、入浴介助等の際にも安心して使用することができます。
2. インカム導入の背景
介護施設では、利用者の急な体調変化やトラブルが発生することが少なくありません。そのため、職員が互いに連絡を取り合い、素早く対応できる環境が求められています。従来、こうした場面では電話や対面での報告が一般的でしたが、施設が広く移動距離が長い場合や、緊急性の高い場面では情報伝達が遅れるリスクもありました。そこで登場したのが、インカムを活用したリアルタイムの情報共有です。

3. 介護施設でのインカム導入のメリット
介護施設でのインカム導入は、職員の業務効率向上や安全性の向上につながります。具体的なメリットを見ていきましょう。
迅速な連絡・対応が可能に
インカムを使用することで、施設内のどこにいてもリアルタイムで連絡を取り合えます。口頭での連絡は対象の職員を探すための時間や手間が大きくかかっていました。 利用者が転倒した場合や、急変の可能性がある場合にも、すぐに対応を呼びかけられるため、適切な処置を素早く対応できるようになります。
職員の負担軽減
職員は、インカムでやり取りすることで無駄な移動を減らすことができ、業務効率が向上します。必要なサポートがすぐに得られるため、孤立することなく、安心して業務に専念できます。 介護職員が不足している現状では、対応に困った際に相談できず、問題が解決しないことが多々あります。
介護施設では、独自の細かなルールがある場合が多く、すぐに相談できる環境があることは新人職員の定着のためにも必要です。 特に人手不足が深刻な介護業界では、インカムの活用が一層求められるでしょう。
利用者の安全・安心が向上
インカムは、1対1の通話だけではなく、施設全体への一斉通話も可能です。
施設全体での情報共有がスムーズに行われることで、チームとして一貫したケアが提供できるようになるでしょう。利用者への対応が一層迅速に行えるため、利用者やその家族にとっても安心感が増します。
緊急時の適切な連携が可能
インカムは職員間の連携を強化するだけでなく、緊急事態においても有効です。特に夜間の少人数体制での勤務や、災害発生時には、インカムを通じての迅速な連絡が利用者の命を守るための重要な手段となります。
4. 介護施設におけるインカム活用のポイント
インカムを効果的に活用するためには、いくつかのポイントがあります。

チャンネルの設定と役割分担
チャンネル設定を行い、業務内容やフロアごとに役割を分けておくことで、情報が混在せず、必要な人に適切な情報が届きやすくなります。
利用ルールの徹底
インカムは便利な反面、誤った使い方をすると逆に混乱のもとになります。施設ごとに利用ルールを定め、緊急連絡用の指示や報告方法を統一しておくことで、スムーズなコミュニケーションが可能です。
職員への教育
新しい職員やインカムの使用が初めての職員がスムーズに使えるよう、操作方法や緊急時の対応手順について教育を行うことも重要です。操作に慣れておくことで、どの職員も自信を持って使用できるようになります。
5. インカム導入による課題と解決策
インカムは非常に便利なツールですが、導入にはいくつかのデメリットや課題もあります。たとえば、「会話が他の利用者に聞こえてしまう」「バッテリー管理が必要」「初期導入コスト」などです。
こうした課題に対しては、以下のような対応を考慮すると良いでしょう。
会話内容の工夫:利用者のプライバシーに配慮した言葉遣いや表現を心がける。
インカムの予備バッテリーを確保:バッテリー切れ対策として、充電体制や予備バッテリーを用意しておく。
導入コストの抑制:インカムを一括導入するのではなく、重要なエリアやタイミングに応じて徐々に導入を進める方法も効果的です。また、購入する際に補助を申請し、補助金を活用することも可能です。
6. インカム導入による加算について
介護施設において、職員間の円滑な情報共有や迅速な対応をサポートするツールは、利用者の安全性やサービスの質向上に貢献します。インカムの導入により、結果的にケアの質が向上し、加算の対象として評価されることもあります。以下のような加算が、インカムを活用する介護施設の取り組みと関連するケースです。
令和6年 介護報酬改定によりICT機器の導入、活用により加算の対象となりました。

参照元:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
生産性向上推進体制加算(Ⅱ)のうち以下の3つのうち1つ以上を使用する必要があります。
① 見守り機器
② インカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器
③ 介護記録ソフトウェアやスマートフォン等の介護記録の作成の効率化に資するICT機器(複数の機器の連携も含め、データの入力から記録・保存・活 用までを一体的に支援するものに限る。)
生産性向上推進体制加算(Ⅰ)の場合は、全ての機器を使用する必要があります。
インカムの導入は、介護施設での生産性向上推進体制加算の要件にも貢献する重要なツールです。 現場職員の連携を円滑にし、即時の対応が求められる場面でもスムーズな情報共有が可能になるため、業務の効率化や迅速な判断や対応をサポートします。 インカムの活用により、現場全体での生産性向上が期待できるため、加算の取得を目指す施設にとっても検討すべき設備の一つといえるでしょう。
7. まとめ
インカムは、介護施設での業務効率と利用者の安全性を向上させる強力なツールです。職員間の迅速な情報共有や連携を強化することで、利用者により安心・快適な生活を提供できます。
介護の現場では、職員の負担が大きくなることも多いですが、インカムを導入することでその負担を軽減し、チーム全体での協力体制がより円滑になります。もしまだ導入されていない施設があれば、一度検討してみてはいかがでしょうか?
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