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介護DXが難しい理由とは?推進するための取り組みを解説

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介護DXが難しい理由とは?推進するための取り組みを解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が隆盛を極めるなか、介護業界でもDX推進が叫ばれています。介護DXの推進はなぜ難しいのか。その課題と導入における注意点、ツールや効果について詳しく説明していきましょう。

目次

  1. 1.介護DXとは
    1. 1-1.DXの定義
    2. 1-2.介護施設のDXとは
  2. 2. 介護施設のDX推進で解決する課題
  3. 3.介護施設でDXを進める注意点と推進ステップ
  4. 4.介護DXをサポートするツールと事例、導入による効果
  5. 5. まとめ

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1.介護DXとは

2004年、スウェーデンのウメオ大学教授だったエリック・ストルターマンは、DX(デジタルトランスフォーメーション)という概念を発表しました。このDXは徐々に社会に浸透し、日本ではコロナ前から、一気に企業経営におけるキーワードとなりました。

トランスフォーメーションとは、英語で「変化・変形・変容」。つまり、デジタル技術を活用することにより、社会や生活スタイルが変わることを指します。2004年当時、「IT(情報技術)の浸透が、人々の生活をあらゆる面で良い方向に変化させる」と唱えたエリック・ストルターマンは、2022年に社会、公共、民間の3つのレベルでデジタルトランスフォーメーションが加速すると何がもたらされるのかを再定義しました。

それでは日本では、DXをどのように定義されているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

1-1.DXの定義

経済産業省が2022年9月に改定した「デジタルガバナンス・コード2.0」には、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と記されています。

経産省のDXの定義は、主に民間の企業に向けられたものです。謳われているのは、「企業がビジネスモデルを変革させるためのもの」。組織のビジネスモデルが変わった結果として、私たち個人のプライベートな生活も徐々に変わっていきます。

DXの生みの親、エリック・ストルターマンが2022年に再定義したDXの内容は、経済産業省が対象とした「民間企業・組織におけるDX」に加え、「公共におけるDX」「社会全般のDX」まで踏み込んでいます。デジタル・トランスフォーメーションは社会全体に浸透することで、サステナブルで住みよい生活が実現されると語っています。それぞれの具体的な特徴をご紹介します。


民間企業・組織におけるDX

①企業がビジネスの目標やビジョンの達成にむけて、その価値、製品、サービスの提供の仕組みを変革することである。

②顧客により高い価値を提供することを通じて、企業全体の価値を向上させることも可能にする。

③戦略、組織行動、組織構造、組織文化、教育、ガバナンス、手順など、組織のあらゆる要素を変革し、デジタル技術の活用に基づく最適なエコシステムを構築することが必要である。

④トップマネジメントが主導し、リードしながら、全従業員が変革に参加することが必要である。


公共におけるDX

①あらゆる組織や分野でスマートな行政サービスを展開し、革新的な価値創造を支援することができるものである。また、DXは住民をより安全・安心にし、快適で持続可能な社会へと導くことができるソリューションを生み出すことで、住民の幸せや豊かさ、情熱を実現し、地域やエリアの価値を向上させることを可能にする。

②既存の仕組みや手続きへの挑戦、より住民本位の革新的な解決策を協働で考えることを促す。DXを推進するためには、組織のあり方や文化を革新的、アジャイル、協調的に変革することが必要である。

③トップマネジメントが主導して行うものでありながら、全てのステークホルダーが変革に参加することを求められる。


社会のDX

①人々の生活のあらゆる側面に影響を及ぼす。DXは単なる技術的な発展ではなく、社会を構成する私たちが、リアル空間とデジタル空間が融合し高度に複雑で変化する世界にどのように関わり、接するかに影響を与える広く深い変化である。

②よりスマートな社会と、一人ひとりが健康で文化的なより良い生活を送れるサステナブルな未来の実現をもたらしうる。


上記のようにDXは「民間企業・組織」「公共」「社会」の大きく3つの分野で整理されていますが、では、介護施設におけるDXとは具体的にどのようなものになるのか見ていきましょう。


1-2.介護施設のDXとは

介護施設における企業の価値創造は、入居者や利用者のためにより質の高い介護サービスを提供することです。したがって介護施設のDXとは、「スマートフォンやPCといった身近なデジタル機器を活用して業務改善を図ることで、今まで人為的にかかっていた時間を有効活用し、利用者に向けた質の高い介護サービスを提供する取り組みをすること」と言えるでしょう。例えば以下は、介護施設のDX化がもたらすサービス改善の流れです。



施設に入所したい方のニーズ調査

施設内で検討・改善

データやデジタルを活用

よりよい施設へと改善

集客がアップし、利用者も満足する



介護DXを推進することで、上記のような好循環が施設内に生み出すことができるようになるのです。


2.介護施設のDX推進で解決する課題

それでは介護施設が抱える課題感とは、具体的にどのようなものでしょうか。

以下の図表は、厚生労働省が2020年に発表した「介護現場におけるICT環境の整備状況等に関する実態調査」で、全国の介護施設・事業所に対して「介護ソフトを導入していない理由」を問う答えの一覧です。

参照元:厚生労働省「介護現場におけるICT環境の整備状況等に関する実態調査」p.43図表32


同じく厚生労働省が公表した「令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ」によると、実際に介護施設にICTを導入した後、施設から寄せられた感想が紹介されています。


「うまくいかなかったこと」として寄せられた感想は、下記の通りです。

・効率化できる業務や書類の分類が十分でなかった。

・記録内容等のルールの統一化がうまくいかなかった。

・職員のICT化に対する意識統一やスキルが十分でなかった。

・電子化に同意しない利用者がおり、完全にICT化できな かった。

・慣れるまで、想定より時間がかかった。


また「今後工夫が必要なこと」としては、以下のような内容が寄せられています。

・職員のICTスキル向上。

・多機能な介護ソフトのさらなる活用。

・職員による定期的な振り返り。

・ペーパーレス化に向けた業務改善。

・マニュアル、記録様式、ルールの整備。

・他の法人事業所、地域包括支援センターなどとのデータ連携や情報共有。


若い人から高齢のスタッフまで、介護施設には幅広い年齢層の職員が働いています。よく知らないソフト、電子機器への抵抗感は、高齢のスタッフなら当然抱く感情でしょう。どのような形態の施設サービスであっても、働く環境を改善するには課題はつきもののようです。


3.介護施設でDXを進める注意点と推進ステップ

働く環境を変える上で、課題はしばしば発生します。介護施設においてスムーズに必要なDXを導入するためのポイントは以下になります。

★職員の課題抽出と自分ごと化してもらう★

正職員、非常勤と勤務形態を問わず、業務で困っていることや現状時間がかかる内容を調査・抽出していきましょう。改善したい業務をスタッフ全員で共有すると、DX導入の必要性を感じてもらいやすくなります。

「自宅の家電製品も、購入当時は使い方がわかりにくいですよね」「介護記録や報告書の転記はいつも大変ですよね」「残業はできればなくしたいですよね」など、ほとんどのスタッフが感じている気持ちを最初に示していくと、導入後のイメージが湧きやすくなります。

課題抽出には以下のようなコツが必要です。

●職員全員で、意見や課題を話し合う場を設ける。また意見を言いづらい職員がいることを予め想定して、アンケートも実施する。

●「新しいソフトや機器は、慣れるまでは多少時間がかかります」と、一時的に職員の負担が増えることを最初に説明して、理解してもらう。

●「介護ソフトを導入すると、勤怠シフト作成時間が月5時間削減できます」と、具体的な業務削減策を提示する。

●導入するにあたっては、複数の導入機器を比較検討する。コストの面だけではなく、毎日使う職員が使いやすいか、継続して使い続けられそうか、今よりも業務改善できるかを確認する。

★業務の役割分担を見直す★

会議やアンケートで出た意見をもとに、現在の業務を見直します。業務改善についてはDX化ありきではなく、「施設全体の業務改善をするなかで、一つの手立てとしてDX化がある」と示すことが必要です。

★ルールの設計★

運用方法を導入後に考えるのではなく、導入前に予め決めておきましょう。また、導入後も必要に応じてルールを見直していきましょう。一人のできる職員に管理を集中させないことも運用のコツの1つです。

●勤怠管理システムは鈴木さんと加藤さん、見守りカメラは斉藤さんと田中さん……といったように、担当者をそれぞれ決める。

●介護施設以外でも情報機器が使われることを想定し、休日、外出先での取り扱いルールを設定する。

●情報共有の方法や、システム入力の際の単語の統一化など、マニュアルを作成、改訂する。

★慣れてもらう。メリットを実感してもらう★

「実際に使ってみたら便利だった」というポジティブな感覚を持ってもらうためには、まず慣れてもらって、使い続けてもらうことが必要です。

●コミュニケーションツールを入れる際は、例えばLINEのビジネス版など、馴染みのあるツールを導入するなど、抵抗感をなくす方法を考える。

●グループウェアやクラウドウェアに業務に関する必要事項を入れておき、1日の業務のなかで1回は利用するように、習慣化してもらう。

●わかりやすく改善が見込まれそうな「夜間巡視の回数」「利用者へのナースコール対応の回数」など、導入前後で一定期間記録する。使用前、使用後で、改善を見える化する。

★職員の負担を軽減する★

職員の負担を減らすためにシステムを導入するものの、その過程で指導者が気をつけなければ、スタッフの負担がかえって増えてしまいます。気をつけるべき事項は以下の通りです。

●現場の混乱を避けるために、すべてのシステム・機器を一気に導入しない。

●情報漏洩対策のため職員のプライベートのスマートフォン、タブレットは使わない。

●システムやメーカー業者のサポートを一定期間仰ぐ。

●新しい機器に馴染みやすい若い職員は、周りのスタッフからレクチャーを求められる。そういったスタッフに仕事が集中しないよう業務配分する。


4.介護DXをサポートするツールと事例、導入による効果

それでは、介護DXをサポートするツールと事例を紹介していきましょう。また、実際に介護DXを進めると、どのような効果があるのかも示していきます。

●介護ソフト

以前は手書きやエクセル、ワードなどで作成していた介護記録や帳票作成、勤怠管理をシステム活用することにより、作成するだけでなく、抽出することができるようになります。

【効果】

・複数の職員が書類を同時に使うことができる

・介護記録からヒヤリハット報告書などへの、転記ミスが起きにくくなる

・書類作成時にファイルを探す手間が省ける


●データのクラウド化

業務上得た情報や共有したいデータを個々のパソコン上ではなく、WEB上で保存ができるようになります。

【効果】

・いつでも、誰でも、どの機器からでも必要なときにアクセスできる。

・書類を探す手間が省け、いつでも書類の保存先に迷わない。決まった場所へ書類を格納するルールを決めるだけ。

・いつでも、誰でも、どの機器からでも必要なときにアクセスできる。

・研修動画やマニュアルなど、全スタッフに知っておいてほしい内容も保存場所に格納するだけなので、指導者もスタッフも時間を有効に使える。


●チャットなどのグループウェア

業務上必要になるスケジュール管理や稟議について、スタッフの間で双方向のコミュニケーションができるソフトのこと。チャット、掲示板、メールのほかにタイムカードなどの機能も備わっています。

【効果】

・チャット機能は、職員の距離が離れていてもやり取りが可能。履歴が残るため、後から内容を確認しやすいのが特徴で、コミュニケーションが取りやすくなる。

・ホワイトボードや連絡ノートを使って共有していた情報の周知漏れが少なくなる。

・利用者の機密情報が漏洩する危険性が防げる。

・経費や稟議が電子申請できる。申請・承認作業もしやすくなり、進捗状況も当事者への確認がいらなくなる。


●情報機器

スマートフォンやタブレットを業務用として、施設で購入し全職員へ配布。ペーパーレス化が一気に進みます。

【効果】

・各種システムの利用や、職員同士のコミュニケーションが場所を問わず可能になるため、スタッフ全体の生産性が上がる。

・スマートフォンやタブレットにはカメラ機能がついているため、スタッフ間で利用者の急変などを画像共有できる。


●ベッドセンサー

ベッドやその周辺に機器を設置することで、居室を訪れることなく、利用者の状態がセンサー機能でわかるようになります。トーテックアメニティの「見守りライフ」は、ベッドの4つの脚に付いた荷重センサーのため、ベッド上で利用者の重心がどこにあるかを即時判断します。「臥床 」「動き出し」「起き上がり」「ベッドの端に座る」「離床」の5つの状況がスタッフのスマートフォンに送信されます。

【効果】

・入居者の急変を見逃さないよう、訪室を施設で決めた巡視回数に抑えることができる。

・何よりも夜勤帯に働くスタッフの精神的負担が軽減できる。業務を安心して行うことができる。

・訪室の時間を、別の業務に充てることができる。


5.まとめ

介護施設のDX推進における課題、注意点、推進ステップ、そしてツールや効果について触れてきました。勤怠システムなどの事務的な内容は、既にソフトを使って業務改善している施設も多いと思います。前章でも記した通り、一番目に見えてインパクトがあるのは、夜間帯のスタッフの巡視回数ではないでしょうか。

骨折、打撲といった介護事故につながりやすいベッドからの移乗は、夜間帯を担当する職員の大きな悩みです。ベッドの足元に敷くセンサーマットが鳴る頃には、既に利用者がベッドから起き上がっており、そこからスタッフが居室に向かっても事故はなかなか防げないものです。トーテックアメニティの「見守りライフ」は、利用者の足が床に着く前に、「在(臥床) 」「動き出し」「起き上がり」「ベッド 端に座る」の4つの動作を瞬時に感知してスタッフの端末に通知します。ベッドセンサー導入の際には、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

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