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生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)取得ガイド|要件と機器を解説

生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)取得ガイド|要件と機器を解説

介護現場の業務改善を支援する「生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)」の取得に必要な要件、機器選定、委員会設置までを徹底ガイド。導入前の準備にも役立ちます。

目次

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介護現場に迫る人材不足と業務負担の深刻化

日本では、生産年齢人口が減少する一方で、介護を必要とする高齢者は増加しています。介護現場では「人が足りない」「業務が回らない」といった声が日常的に聞かれ、介護人材の確保と業務効率化は、喫緊の課題となっています。

特に地方や中小規模の介護事業所では、慢性的な人手不足が深刻化しており、職員一人ひとりの業務負担が増加しています。これにより、離職率の上昇やサービス品質の低下といった二次的な課題も顕在化しています。

そこで注目されているのが、介護ロボットやICT機器などのテクノロジーを活用した業務改善の取り組みです。介護職員の処遇改善とあわせて、現場の負担を軽減し、サービスの質を保つ取り組みが求められています。

厚生労働省は平成27年度から「地域医療介護総合確保基金」を活用し、介護現場へのテクノロジー導入を支援してきました。導入件数は増加していますが、令令和4年度の調査では、業界全体での普及率は依然として十分とは言えず、導入が進んでいない施設も多く存在しています。

導入にあたっては、以下のような課題が浮かび上がっています。

• 機器が現場の課題に合っていない
• 業務手順の見直しがされていない
• 継続的な改善が難しい

 

▼介護施設の抱える課題を整理するにはこちらから

課題整理から始めるICT導入ガイド

 

生産性向上推進体制加算とは?【制度の概要】

2024年度(令和6年度)の介護報酬改定で新設された「生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)」は、テクノロジー導入と業務改善の継続的な取り組みを評価する加算制度です。介護現場の生産性向上を支援することを目的とし、ICT機器や介護ロボットの導入、委員会の設置、業務改善の成果確認などが要件に含まれています。

 

加算 単位数 主な要件
加算(Ⅱ) 月10単位 テクノロジー1種以上導入+委員会設置+業務改善+データ提出
加算(Ⅰ) 月100単位 加算(Ⅱ)の要件+成果確認+複数機器導入+役割分担の工夫

 

ⅠとⅡで数字の大きい方が上と思いがちですが、生産性向上推進体制加算の場合は、加算(Ⅰ)の方が上位区分となります。また、加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)は同時に算定することはできないので、注意が必要です。

まずはハードルの低い加算(Ⅱ)から取得し、取り組みを継続・改善したうえで加算(Ⅰ)へ移行することが推奨されます。すでに業務改善に取り組んでいる事業所では、初めから加算(Ⅰ)を目指すことも可能です。

 

加算(Ⅰ)(Ⅱ)に必要な介護機器とは?

加算を算定するには、介護機器の導入が必須です。ただし、導入する機器は「何でもよい」わけではありません。
施設の課題に即した機器選定が求められます。

機器選定の考え方

• まずは事業所の現状把握と業務上の課題の洗い出しを行う
• 業務内容を整理し、職員ごとの役割と機器の活用方法を明確化
• 洗い出した課題に対して、必要な種類の介護機器を選定

 

このプロセスを省略すると、導入した機器が活用されず「宝の持ち腐れ」になる可能性があります。

▼課題の整理から機器の選定まで便利な資料はこちらです。是非ご活用ください。

課題整理から始めるICT導入ガイド

 

加算(Ⅰ)で必要な機器(すべて必須)

下記①~③の機器全てを導入する必要があります。

① 見守り機器

ベッドからの離床を感知し、外部通信機能で職員に通知するセンサー。
全居室に設置し、利用者ごとに個別に見守れる状態が必要。設置時には、利用者や家族への説明と同意が必要です。

② 職員間の連絡調整の迅速化のためのICT機器

インカムやビジネスチャットツールなど、職員間の連携を迅速化するICT機器。同一時間帯に勤務する全職員が使用すること。
業務内容を整理し、職員ごとの役割と機器の活用方法を明確化する。

③ 介護記録のためのICT機器

記録業務を効率化するICT機器。
介護記録ソフトウェアやスマートフォン等も含みます。複数の機器の連携も含めて、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するもの。

 

加算(Ⅱ)で必要な機器(上記①〜③のうち1つ以上)

上記①~③の機器のうち1つの機器を導入します。
ただし、②の「職員間の連絡調整の迅速化のためのICT機器」は加算(Ⅱ)でも同一の時間帯に勤務する全職員が使用することが条件です。

 

「導入前の状況調査」は必須

加算(Ⅰ)を算定するには、加算(Ⅱ)で求められる取り組みの成果が確認されていることが条件です。
そのため、ハードルの低い加算(Ⅱ)を取得する予定であっても、最初から上位加算の加算(Ⅰ)を取得するために、テクノロジー導入前の状況を調査しておくことが非常に重要です。

調査すべき項目

① 利用者のQOL等の変化(WHO-5等)
② 総業務時間、超過勤務時間の変化
③ 年次有給休暇の取得の変化 
④ 心理的負担等の変化(SRS-18等)※加算(Ⅰ)のみ
⑤ 機器の導入による業務時間(直接介護、間接業務、休憩等)の変化「タイムスタディ調査」※加算(Ⅰ)のみ

これらのデータは、導入前と導入後で比較できるように記録しておくことが必須です。

特に④⑤は、加算(Ⅱ)では求められていないため、あとから加算(Ⅰ)に移行しようとした際に「導入前のデータがない」という事態にならないよう、導入前の段階で準備しておくことがポイントです。

 

委員会の設置は加算取得の必須条件

さらに、加算(Ⅰ)(Ⅱ)を取得するためには、事業所内に「委員会」を設置することが義務付けられています。
この委員会の正式名称は「利用者の安全ならびに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会」です。

この委員会は、介護現場における課題を整理・分析し、以下の3つの視点から改善策を検討する場として位置づけられています。
• 利用者の安全確保
• サービスの質の向上
• 職員の負担軽減

制度上は令和8年度末までの3年間、経過措置として「努力義務」とされていますが、加算の算定にあたっては、経過措置期間中であっても委員会の設置が必須です。
特に加算(Ⅱ)では、3ヶ月に1回以上の開催が求められており、管理者だけでなく、ケアを担う職員やユニットリーダーなど、現場の実情をよく理解している職種の参加が重要です。

【委員会の開催方法】

委員会は、テレビ電話装置などのICTツールを活用して開催することが可能です。
その際には、以下のガイドラインを遵守する必要があります。

• 個人情報保護委員会・厚生労働省
『医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス』

• 厚生労働省
『医療情報システムの安全管理に関するガイドライン』

また、事務負担軽減の観点から、事故防止委員会など他の事業運営に関する会議と一体的に設置・運営することも可能です。
さらに、「生産性向上委員会」は原則として事業所ごとに開催することが求められますが、他のサービス事業者との連携による共同開催も認められています。

開催にあたっては、厚生労働省の 『介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン』 などを参考に、取組を進めることが望ましいとされています。

【委員会の記録と提出】

「生産性向上推進体制加算」を算定する際には、委員会で行うべき検討・取組・確認内容が要件として定められています。
また、自治体から委員会の議事概要の提出を求められる場合があるため、必ず議事録を作成しておきましょう。

 

▼生産性向上に資するガイドラインに沿った委員会の立ち上げ方や進め方も解説!分かりやすい資料はこちら

課題整理から始めるICT導入ガイド

【委員会で検討すべき主な内容】

利用者の安全とケアの質の確保

1.見守り機器等の導入後の状態確認
離床状況、睡眠状態、バイタルサインなどの情報をもとに、介護職員・看護職員・ケアマネジャーなどが連携し、利用者の状態が維持されているかを確認します。

2.介護機器の活用方法の見直し
利用者の状態変化に応じて、介護機器の使用方法を変更する必要があるかを検討し、必要な対応を行います。

3.安全面への配慮
見守り機器を使用する際、安全面に特に配慮が必要な利用者については、定時巡回の実施も含めて検討します。

4.事故・ヒヤリ・ハット事例の分析
介護機器の使用に関連して発生した事故やヒヤリ・ハット事例を把握し、原因分析を行ったうえで再発防止策を検討します。

 

職員の負担軽減と勤務体制の見直し

1.職員の心身の負担状況
ストレスや体調不安など、職員の心身の負担が増加していないかを確認します。

2.業務負担の偏りの確認
職員の負担が過度に集中している時間帯がないかを把握します。

3.休憩・時間外勤務の状況確認
休憩時間の確保や時間外勤務の状況を確認し、勤務体制の見直しを検討します。

 

導入機器の定期的な点検

1.日常的な不具合チェックの仕組みづくり
業務の中で定期的に時間を設け、介護機器の不具合がないかを確認する体制を整えます。

2. メーカー等との連携による点検
機器の開発メーカー等と連携し、定期的な点検を実施します。

 

生産性向上を図るための職員研修の実施

• 見守り機器や介護機器の使用方法に関する講習
• ヒヤリ・ハット事例の共有と再発防止策の実習
• 加算(Ⅰ)を算定する場合は、職員間の役割分担による業務効率化を目的とした研修も定期的に実施します。

参照元:Vol.1236 令和6年3月29日 厚生労働省老健局高齢者支援課

参照元:公益財団法人 介護労働安定センター「生産性向上のための委員会と生産性向上推進体制加算解説資料」

 

まとめ

 

介護無資格者が受けるべき研修

 

「生産性向上推進体制加算」は、介護現場の働き方改革とサービス品質向上を支援する制度です。テクノロジーを導入するだけでなく、業務改善を継続し、成果を可視化することが求められます。 まずは加算(Ⅱ)から始めて、現場の声を活かしながら改善を進めていきましょう。加算(Ⅰ)を目指すなら、導入前の状況調査と機器選定の準備がカギです。

 

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