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高齢者の転倒・転落事故の危険性と予防策

高齢者の転倒・転落事故の危険性と予防策

高齢者の転倒・転落事故は、交通事故の4.8倍もの死亡数を引き起こしています。本記事では、転倒・転落事故の原因とその予防策について詳しく解説します。 介護施設での具体的な対応方法や再発防止策のポイントをまとめました。

目次

  1. 1. 高齢者の転倒転落事故の危険性
  2. 2.高齢者の転倒転落が多い原因
    1. 転倒転落の発生要因
  3. 3.介護施設での転倒転落事故発生時の対応方法
    1. 事故発生時の初期対応
    2. 事故後の記録と報告
    3. 再発防止のために
  4. 4.まとめ

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高齢者の転倒転落事故の危険性

高齢者の転倒転落事故が多いことはなんとなくイメージがつくと思いますが、その数はどのくらいであるかご存知でしょうか?以下のグラフは、2023年の人口動態統計より集計した結果です。60歳以上の死亡数・死因別の集計を見てみると、転倒転落による事故が原因で死亡した数は11,258人でした。一方、交通事故が原因での死亡数は2,356人。なんと転倒転落事故が交通事故の4.8倍にも及ぶ結果となりました。

転倒は、若い方にとっては軽い怪我で済むことが多いですが、高齢者にとっては命に関わる問題、事故ということになります。

60歳以上の死亡数の要因別比較グラフ

参照元:2023年人口動態調査 「死亡数,死因(死因簡単分類)・性・年齢(5歳階級)別」より集計

 

高齢者の転倒転落が多い原因

では、なぜ高齢者は転倒してしまうのでしょうか?

高齢になるにつれ、筋肉量の減少や関節の痛みなどが発生します。足腰が不安定になり、転倒のリスクが高まります。これらの身体的な要因に加えて、環境要因が加わった時に転倒転落は起こります。

高齢者の転倒転落が増加する原因として以下のことが挙げられます。

転倒転落の発生要因

身体的要因

・身体的機能(運動、知覚障害、視力・聴覚の低下、骨・関節の異常、筋力低下、平衡感覚の低下)

・精神的機能(理解力・判断力低下、不眠、多動、徘徊)

・活動状況(車椅子、歩行器、杖使用、移動に要介助)

・薬剤の服用(副作用によるふらつき)

・排泄(要介助、頻尿、夜間尿、下痢)

・環境の変化(入所後10日以内、ベッドや生活環境の変化、不慣れ)

・性格(自立心が強い、思慮深い、我慢強い)

 

環境要因

・廊下やベッドサイド等に障害物がある

・手すりがない

・ベッドの高さや大きさが不適、柵の不適切な使用

・床の状態が滑りやすい、つまずきやすい(清掃中、床の材質、敷物、段差)

・構造、表示:どこに何があるか分かりにくい、暗い(照明の不足)

 

ケア提供者側の要因

・リスク意識の低下

・利用者の危険度の把握が不十分

・補助具、ポータブルトイレの設置場所が不適切

 

転倒・転落の原因は様々ですが、複数の要因が重なった場合に発生することが多いです。筋力の低下やバランス感覚の衰え、視覚や聴覚の機能低下によるふらつき、薬の副作用など身体的要因に加えて、照明が暗い、手すりや安全柵の不足、段差のある床など環境要因が重なった場合に発生します。

例えば、自宅においては関節痛と視力が衰えきた高齢者が、チャイムが鳴ったので急いで玄関に向かうときに延長コードにつまずいてしまうなどが考えられます。

高齢者という時点で身体的要因があるため、それに少しの環境要因が加われば、転倒につながるリスクが発生するのです。

では、介護施設ではどうでしょう。介護施設では、介護のプロである職員が見守りを行い、利用者の過信による無理な動きなどを防ぎ、介助や補助を行います。しかし、利用者さんによっては職員に頼っては申し訳ないという気持ちと自分で行けるという過信から、ベッドからトイレへ向かう際に転んでしまうことが多いようです。

▼こちらの記事もおすすめです。

転倒を予防する方法とは?高齢者が転ぶ原因と介護施設でできる対策を解説≫

 

転倒・転落事故を防ぐために

 

介護施設における転倒・転落事故発生時の適切な対応方法

介護施設では、どれだけ職員が注意を払っても、利用者の転倒や転落事故が完全に防ぎきれない場合があります。その際、迅速かつ適切な対応が被害の拡大を防ぎ、利用者や家族の安心につながります。転倒・転落事故が起きた際の対応手順と、事故後の再発防止策について解説します。

それぞれの施設により細かな点が異なるため施設に合わせたマニュアルを作成しましょう。

事故発生時の初期対応

転倒・転落事故が発生した場合、以下の手順で対応することが重要です。

1. 利用者の安全を確保する

・周囲の状況を確認し、その他に危険がないか確認する。

・他の利用者が近くにいる場合は、周囲を整理して場所を確保する。

・利用者が動けない場合は、無理に起こそうとせず、その場から動かさないようにする。

 

2. 利用者の状態を確認する

・頭部、四肢、背中などに外傷や変形がないか観察する。

・呼吸や意識の有無を確認し、異常があれば速やかに医師・看護師を呼び、必要によっては救急車を呼ぶ。

・痛みを訴える場合は、骨折や打撲が疑われるためその箇所を詳しく尋ねる。

 

3. 緊急対応を行う

・意識不明や呼吸停止があれば、心肺蘇生法(CPR)を実施。

・頭部を打った場合は、意識があっても経過観察が必要(後に症状が現れることがあるため)。

 

4. 医療機関へ連絡する

・症状が軽微であっても、医師の診察を受けるよう手配する。

・救急車を呼ぶ際は、状況を的確に伝える(事故の状況、負傷箇所、意識状態など)。

 

5. 利用者のご家族に連絡する

・事故が発生した旨を、迅速かつ正確にご家族に伝える。

・利用者の状態と今後の対応方針を説明し、理解を得る。

 

事故後の記録と報告

1. 事故記録の作成

・事故発生の日時、場所、状況(転倒時の行動、周囲の環境など)

・利用者の状態(怪我の有無、意識の有無、痛みの訴えなど)

・職員が行った対応内容(初期対応、救急車手配の有無など)

事実を客観的に記述し、感情や推測は避けます。時系列に沿って記入することで状況を整理し分かりやすくなります。

 

2. 施設内での共有

・事故原因を分析し、同様の事故が再発しないよう情報を共有する。

・スタッフ間で改善点を話し合い、業務に反映させる。

 

3. 行政への報告

・重傷事故の場合、自治体や監査機関への報告が必要になる場合があります。

・必要書類を速やかに準備し、関係機関に提出します。なお、遅くとも5日以内に所定の様式で報告しなければなりません。

事業所から市町村に対して事故の報告をしますが、これは、この情報を収集・分析・公表することで、介護施設に対して有用な情報を共有できます。介護施設は、未然に安全対策を取れ、事故の再発防止やサービス向上に繫がる事を目的として行っています。

事故対応が一段落したら、事故の詳細を記録し、適切に市町村へ報告します。

報告対象となる事故については、以下のように厚生労働省により定められました。

① 死亡に至った事故

② 医師(施設の勤務医、配置医を含む)の診断を受け投薬、処置等何らかの治療が必要となった事故

その他の事故の報告については、各自治体の取扱いにより異なりますので、必ず確認が必要です。

 

報告方法

原則メール等の電磁的方法での報告を行います。

自治体によっては様式を、そのままウェブフォームとして入力し、報告できるところもあります。また重大な事故の場合は、すぐに電話での報告を義務付けている自治体もありますので、事故が起きてからではなく事前に自分の自治体はどのような対応をするよう求めるか確認が必要です。

参照元:厚生労働省老健局 介護保険最新情報 令和6年11月29日

事故報告書

報告書の様式については、可能な限り共通の以下の資料を使用します。
これまで市町村で使用している様式の使用を禁じるものではありませんが、情報の蓄積と有効活用のために、事故報告の標準化が必要としています。

参照元:厚生労働省老健局 介護保険最新情報vol.943

事故報告書1ページ目
事故報告書2ページ目

▼以下をクリックすると自動ダウンロードできます(厚生労働省 事故報告書)

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000756264.xlsx

 

再発防止のために

事故後は再発を防ぐための対策を講じることが不可欠です。
事故報告書を基に原因を探ります。環境が要因としてあるならば、その要因を取り除きます。

1. 施設環境の見直し・整備

転倒、転落が発生しやすい場所を確認し、設備を改善します。 具体的には以下のようなことが考えられます。

・浴室周辺、洗面所、トイレ、食堂などの共有スペースの床の濡れはすぐにふき取る
・つまずき易い敷物は取り換え、段差は解消する
・床材を滑りにくいものにする
・危険な場所に手すりなどを設置する
・居室内のポータブルトイレ等を適切な位置と高さにする

 

2. 利用者のケアプラン調整

転倒リスクの高い利用者に対して、個別のサポート計画を策定します。
定期的なリハビリや筋力トレーニングを行います。バランス能力の低下や柔軟性の低下も転倒リスクを上げる要因になります。座位、立位、臥位で行えるトレーニングがありますので無理のない範囲で、理学療法士などが行います。

 

3. 職員の教育

定期的に研修を実施し、事故発生時の対応や予防策について知識を深めます。転倒が重大な事故に繋がるという意識を職員ひとりひとりに持たせる必要があります。

 

4. 見守り機器の活用

転倒転落の危険性が高まるベッドからの離床時ですが、その状態を検知できるのが見守り機器です。 なかでもオススメなのが、トーテックアメニティの見守りライフです。

見守り機器は、バイタルタイプやカメラタイプ、荷重センサータイプなどがありますがそれぞれ検知の仕組みが異なります。そのため検知スピードや状態表示の種類が異なります。

見守りライフは荷重センサーであるため、ベッド上の利用者の動きをリアルタイムに検知し表示、通知することが可能です。さらにカメラを付ければ、居室の状況を訪室前に確認したり、アラート発生時に表示させることもできます。

床に敷くマット式のセンサーの場合、利用者が職員に気をつかってしまいアラートが鳴らないようにマットセンサーを避け、無理な体制を取り転倒してしまうケースもあります。

見守りライフは、ベッドの脚下に取り付けるため、自然な形で利用者さんを見守ることができ、違和感を抱かせません。

離床時の通知はもちろん、睡眠の深度から、動き出しや起き上がり、端座位まで離床前の先行動作を検知できます。ベッド上が全て検知範囲となるため、センサーに触れていないから検知できないということはございません。さらに荷重センサーであるため細かな、離床前の「動き出し」「起き上がり」「端座位」といった細かな動作を検知することができます。

転倒転落事故を防止するためにぜひ、見守りライフを検討してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

転倒・転落事故が発生した際の対応は、迅速で適切な判断が重要です。また、事故後の記録や共有を徹底することで、同じような事故の再発防止につなげられます。利用者の安全と安心を守るために、施設全体で協力し、対応体制を整えておきましょう。

 

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