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業務効率化で介護現場の忙しさの連鎖を断つ!ムリ・ムダ・ムラ削減の実践方法

介護現場のムリ・ムダ・ムラを減らす業務効率化のポイントを解説。紙記録やアンケート作業のDX化による負担軽減、見守りライフが実現する夜間業務の効率化まで、現場改善のヒントを紹介します。
介護現場で業務効率化が求められる理由
日本の介護現場では、長く続く人手不足が深刻な課題になっています。職員数は増えているものの、それ以上のペースで要介護の方が増えているため、いつもギリギリの人員で回さざるを得ない状況です。
「もっと人を増やして負担を分散したい」と思っても、採用が思うように進まず、どうしても今いる職員に仕事が集中してしまいます。その結果、毎日の業務量は高止まりしたまま。業務を効率化しない限り、この状況はなかなか改善しません。
さらに、介護職員自身も年齢を重ねており、体力が必要な業務を続けるのが難しくなってきています。
これらは、介護現場がこの先も安定してサービスを提供していくために、業務の進め方そのものを見直す必要があることを示しています。
ムリ・ムダ・ムラとは
介護施設で「業務効率化」と言うと、まず押さえておきたいのがムリ・ムダ・ムラの考え方です。
ムリ・ムラ・ムダは、「3M」とも呼ばれており、製造業などでよく使われる言葉ですが、実は介護現場でも非常に重要な視点になります。

参照元:厚生労働省「介護分野における生産性向上ポータルサイト
ムリ(負荷集中)が生むリスク
ムリとは、特定の個人や時間帯に過剰な負荷が集中している状態を指します。能力や体力的に大きな負荷がかかっている状態です。介護施設では以下のような場面が挙げられます。
- 夜勤者に巡視・記録・アラート対応がすべて集中
- 重介助の利用者を1人で複数抱えてしまう
- 経験者が新人のフォローをしながら、通常業務も行う
ムリが続くと、疲労の蓄積・注意力の低下・インシデント増加などのリスクが高まります。実際、夜勤中の転倒事故や、配薬ミスは、疲労が背景にあるケースが少なくありません。
さらに厄介なのは、ムリは本人が「自分が頑張れば…」と無理をしてしまうため、周囲から見えにくい点です。これが積み重なると、ある日突然の離職につながることもあります。
ムダ(非効率作業)の発生メカニズム
ムダは、価値に結びつかない作業に時間を使ってしまっている状態を指します。しかし、介護業務の中には、現時点の仕組み上は必要であっても、本来は減らせるものが多く含まれています。
代表的なのは、
紙の記録 → システムへの転記
です。
一度書いた内容を、また別の場所に入力し直す。これは典型的なムダと言えます。
- 記録が点在して探し回る時間
- 申し送り文の構成を毎回ゼロから考える時間
- 会議の議事録を長時間かけてまとめる
- アンケート結果を紙で回収して手入力する
- 同じ説明を複数の職員に行う
さらに記録が散乱している、保管場所が統一されていない、紙・ファイル・PCに全部バラバラに散らばっている。これらは、ケアに必要な情報を得るための「無駄な時間」を生み出しています。 ムダが積み重なると、結果として職員の心の余裕を奪い、ケアの質にも影響が出ます。
ムラ(ばらつき)が生産性を下げる理由
ムラとは、業務量や質にばらつきがある状態を指します。介護の現場では、次のような場面が挙げられます。
- 入浴日だけ忙しさが急に跳ね上がる
- ある職員の記録は詳細だが、別の職員の記録は簡素
- 利用者の離床リスク判断が人によって異なる
- 申し送りの内容に濃淡があり、情報の質が揃わない
ムラが大きいと、利用者に提供されるケアの質も均一化されず、リスクが増えます。また、業務負担が日によって乱高下するため、疲労度が不安定になり、職員はストレスを抱えやすくなります。
特に問題なのは、夜勤のムラです。
限られた人数で多くのリスクを管理するため、作業量のムラがあると対応が後手になりやすく、インシデントにつながる可能性も高まります。

参照元:厚生労働省「介護分野における生産性向上ポータルサイト
ムリ・ムラ・ムダは単独ではなく連鎖する
ムリ・ムダ・ムラは別々の問題のように見えますが、実際は互いに影響し合いながら職員の負担を増やしていきます。
例1:紙の記録から生まれる連鎖
紙の記録 → ムダ
↓
情報が探しづらい
↓
申し送りに時間がかかる → ムリ
↓
忙しい日に限って記録漏れ → ムラ
例2:入浴日の混雑による連鎖
入浴日に人手不足 → ムリ
↓
記録が後回しになり漏れが出る → ムラ
↓
後で探し物が増える → ムダ
このように、介護現場で「忙しい」「余裕がない」と感じる背景には、 ムリ・ムダ・ムラが点ではなく線としてつながり、連鎖していることがあります
紙媒体・情報分散が引き起こす業務負荷

紙記録が抱える限界と、情報が点在することの問題
介護現場ではいまも紙での記録が多く使われています。 紙はその場でさっと書ける手軽さがある一方で、「情報管理」「共有」「再利用」の面ではどうしても制約が多くなります。
まず大きいのは、紙の記録は物理的に分散しやすいこと。
バインダー、個人ファイル、棚、居室の記録台帳…と、保管場所がバラバラになりやすく、以下のような問題が起きます。
必要な情報を探すだけで数分かかる
↓
その積み重ねが「無駄な時間」になる
また紙は 検索性が低いため、
• 過去の記録を時系列で確認する
• 状態変化を比較する
といった「分析」に弱いのも課題です。
さらに紙記録は再利用が難しく、他の帳票に転記する手間が発生しやすいため、二重入力・転記ミスの原因にもなります。
こうした制約が重なることで、紙中心の環境では業務負担が大きくなりがちです。
検索時間・転記・二重入力のコスト
情報が点在していると、どうしても 「探す時間」 が増えます。
たとえば申し送りの準備では、 複数のファイルを開き、必要な記録を探し、内容を整理して…と、多くの時間を奪われます。
これは利用者のケアには直接つながらない非生産的な時間です。
また、転記作業も職員の負担を大きくしている要因です。
・紙 → 介護ソフト・電子カルテ
・紙 → 家族連絡記録
こうした作業は、1人あたり 1日で数10分〜1時間 かかることもあり、施設全体で見ると膨大な工数になります。
二重入力が増えると、ストレス増加はもちろん、誤字・漏れなどのヒューマンエラー増加といったリスクも避けられません。

デジタル化は「電子化」ではなく、情報を使える状態にすること
デジタル化の目的は、紙の情報をただ電子に置き換えることではありません。
情報を統合し、すぐ取り出せて、再利用できる状態にすること が本質です。
その結果、次のような効果が生まれます。
情報探索時間の削減
検索機能で、必要な情報にすぐアクセスできる。
転記作業の排除
1度の入力で、他の帳票や記録にも利用できる → 二重入力の大幅削減。
データ活用が進む
データ化されることで、時系列での分析が可能になり、ケアの質向上につながる。
記録の標準化
フォーマット統一により、記録のばらつきを減らし、属人化を防ぎやすくなる。
特に、
- アンケート業務
- 見守りデータの管理
- 夜勤帯の記録作業
などは、部分的にデジタル化するだけでも効果が出やすい領域です。
▼Microsoft Forms・Googleフォーム使い方ガイド
アンケート業務DX(Googleフォーム/Microsoft Forms)の活用
紙アンケートに潜む「見えない負担」とその課題
介護施設では、年間を通じてさまざまなアンケートが実施されています。
主な例としては次のようなものがあります。
- 職員満足度調査
- 業務負担の実態調査
- 新人フォローアップのアンケート
- ICT導入の効果測定
- 利用者家族アンケート
- 加算要件に関連する職員意識調査
紙でこれらを運用している場合、
作成 → 配布 → 回収 → 集計 → 結果報告
という一連の工程を、すべて手作業で行う必要があります。
特に負担が大きいのが、回収作業と集計作業です。
紙で回収した回答を Excel へ手入力する作業は時間がかかるうえ、入力ミスのリスクも高くなります。
さらに、未提出の職員に声をかける必要があったり、締め切り管理を担当者が一人で抱えることも多く、精神的な負担も大きくなりがちです。 施設規模が大きくなるほど、この負担は指数関数的に増えていきます。
介護施設で活用できる代表的アンケート例
デジタル化(Googleフォーム/Microsoft Forms)と相性の良い、介護施設でよく使われるアンケートを挙げてみます。
- 職員満足度調査
入力時間、二重入力の有無、負担ポイントなどを明確にできる。
- 業務負担の実態調査
業務改善の優先順位を決めるための基礎データになる。
- 新人職員フォローアップのアンケート
指導体制・教育内容の改善に役立つ。
- ICT導入後の効果測定アンケート
導入前後の業務時間変化や職員の感想などを可視化できる。
さらに、これらのアンケートをフォーム化しておけば、翌年以降もテンプレートとして使い回せる ため、継続的なDX効果を得られるのも大きなメリットです。
以下は、フォームの使い方を解説したガイドです。初めてGoogleフォームやMicrosoftのFormsを使用する介護事業者向けに作成していますので、是非参考にしてみてください。
▼Microsoft Forms・Googleフォーム使い方ガイド
業務効率化におすすめのツール
夜間の見守りは介護施設職員にとって負荷が集中する時間帯です。2~3名の夜勤職員で複数の利用者を同時に見守る必要があり、離床・転倒・徘徊などの様々なリスクにも備えなければなりません。
夜勤者には 疲労の蓄積・巡視頻度の増加・強い心理的緊張 が発生しがちです。
さらに、人員が少ない夜間は判断を誤ると重大事故につながる恐れがあり、より慎重な対応が求められます。
また、夜勤業務は属人化が起きやすく、
• 「Aさんは頻繁に巡視する」
• 「Bさんは離床前動作を判断しづらい」
など、職員によって巡視頻度や判断基準がバラつきやすいのも課題です。
この負担を軽減し、夜間業務を標準化するためには、データに基づいた客観的な見守り体制が必要になります。
見守りライフの機能と導入メリット
見守りライフは、既存のベッドに後付けできる 荷重センサー型の見守りシステム です。
利用者の状態を自動で検知し、リアルタイムで可視化します。臥床から離床まで利用者の姿勢や動きなど、ベッド上の細かな状態検知が可能です。 また、これらのデータは記録として残るため、夜勤帯の状態把握やケア判断に役立てることができます。
不必要な巡視の削減
一覧画面で、居室の状況を一目で分かる。またアラートは必要なタイミングだけ通知されるため、判断の基準になり、職員によるムラが減り、さらに巡視の回数が減り負担が軽くなる。
離床傾向の把握が可能
利用者ごとの「どの時間帯に離床が多いか」など、転倒リスクが高いタイミングがわかる。
導入による負荷が少ない
今使っているベッドに取り付けできるため、ベッドの買い替えは不要です。また、システムはクラウドサーバーで運用しているため、オンプレサーバーの設置が不要な点も負荷が少なく導入いただけます。
体重測定機能
ベッドに寝たまま約5秒で測定が可能です。体重計まで移動する必要がなく、利用者と職員の身体的負担の削減はもちろん、作業時間の大幅な削減にも繋がります。
介護ソフト自動転記機能
見守りライフで取得したデータは、介護ソフトに自動転記され、手作業での入力は不要になります。
まとめ
介護現場の業務負担は、人手不足に加えて ムリ・ムダ・ムラ が連鎖することで大きくなっています。紙記録や情報の分散、アンケートの手作業など、「探す・まとめる・転記する」作業が日常化していることも負担増の大きな要因です。
こうした課題は、個人の努力ではなく 仕組みの見直し で解決すべきもの。
まずは、アンケート業務や記録の一部など、効果が出やすい領域からデジタル化を進めることで、
- 探す時間の削減
- 二重入力の解消
- 記録の標準化
- ケアの質向上
といったメリットが短期間で得られます。
業務効率化は「作業を早くすること」ではなく、職員が余裕を持って利用者に向き合える環境づくりそのものです。今できるところから仕組みを整えることが、持続可能な介護現場への第一歩になります。



