人材不足を補うために今行うこと

近年、少子高齢化の影響もあり介護業界の人材不足が深刻化しています。この問題は、数年前から話題となっていますが、改善するどころかより一層深刻さを増しています。今の状況を改善するには、介護業界がなぜ人材不足になっているかを把握し、適切な対処をする必要があるでしょう。
そこで本記事では、介護業界の人材不足を解消するために行わなければいけない対策を紹介します。
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介護業界はなぜ人材不足なのか
高齢化が進んでいる日本では、介護業界で働く人の需要が高いにもかかわらず、なぜ介護人材の不足が問題になっているのでしょうか。
介護業界で人材不足が続いている要因について詳しく解説していきます。
介護業界で人材不足が起こる背景
介護業界で慢性的な人材不足が起きている原因はさまざまありますが、要因のひとつとして少子高齢化が挙げられます。
介護業界で働く人は年々増えていますが、それ以上に介護を必要とする人が増えているため、介護人材が慢性的に不足する状態が続いています。
総務省統計協会の調査では、国内の高齢者率は29.1%で過去最高を記録しました。
しかし、この高齢化は今後も続くといわれており、2040年頃には国民の約40%が高齢者になるというデータも出ています。
日本では1970年代のベビーブーム以降、継続して出生数が減少しており、今後も少子高齢化が続くことが予測されています。そのため、今以上に介護業界で働く人を増やさなければ、人材不足を解決することは難しいといえるでしょう。
参考:厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える」
出生数が減少し始めてからおよそ50年間が経つ今、高齢者が増え介護する人が足りなくなるというのは当然の現象ともいえます。特に、近年は6年連続で出生数が減少するなど、少子化が加速しています。
参考:厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
そのため、人材を増やす以外の方法で業務を行なっていく方法を見つけていくことも重要といえるでしょう。
介護業界で人材確保が難しいといわれる理由
介護業界では、人材の採用が難しく、離職率が高いといった理由から、多くの施設で人材が不足しています。
競合他社との競争が激しい
1つ目の理由は、業界内での採用競争が激しいという点です。
介護労働安定センターが平成29年におこなった「介護労働実態調査」では、約66%の介護施設が人材不足を感じているという調査結果が発表されました。
参考:厚生労働省「平成29年度 「介護労働実態調査」の結果~介護人材の不足感は4年連続増加~ 」
どの施設も同じような悩みを抱えており、人材確保に力を入れているため業界内で人材確保が難しくなるのは当然といえるでしょう。
少し古い数値にはなりますが、実際に、厚生労働省の調査では、平成27年度の他業種の有効求人倍率が1.36倍なのに対し、介護業界では3.02倍という数値を記録しています。つまり、数少ない求職者を介護業界内で取り合っているという状況なのです。
参考:厚生労働省「社保審-介護給付費分科会 第145回(H29.8.23) 参考資料2 介護人材確保対策(参考資料)」
仕事の大変さに対して給与水準が低い
2つ目の理由は、仕事内容に対する給与水準の低さです。
平成29年度に行われた「介護労働実態調査」によれば、介護士の平均給与は22万円ほどといわれており、これは全産業の平均給与と比較しても10万円ほど低い水準となっています。
高齢者の介護は重労働であるのにも関わらず、賃金が他産業と比較して低い水準になっているため、他業界へ人材が流れていってしまうのです。
参考:厚生労働省「平成29年度 「介護労働実態調査」の結果~介護人材の不足感は4年連続増加~ 」
離職率が高い
3つ目の理由は、離職率の高さです。
離職率の高さから「業界全体がブラックなのではないか?」「人間関係に問題があるのではないか?」などのイメージが広がっています。
前出の介護労働実態調査では、約20%の人が人間関係の問題で離職しているという調査結果が出ています。業界全体で問題解決やイメージの改善を行う必要があるでしょう。
介護業界での人材不足を解消するためにできること
介護業界では、どういった対策を講じれば人材不足を解消できるのでしょうか?
ここでは、5つの対策をご紹介します。
働きやすい労働環境に整備する
1つ目の対策は、労働環境の整備です。
働きやすい労働環境の特徴には、
・人間関係が良好
・自分の意見が通りやすい
・風通しが良い
・残業時間が少ない
・休暇を取りやすい
・時短勤務の制度がある
・研修制度が充実している
などがあります。
上記のような特徴に当てはまらない場合は、優先順位を付けた上で、具体的にどのような方法を取れるか検討し、働くやすい環境づくりに取り組みましょう。
ITシステムの導入で業務効率化を図る
2つ目の対策は、ITシステム導入による業務の効率化です。
介護の仕事は高齢者の介護に加えて、書類の作成や管理などあらゆる作業をしなければいけません。
しかし、介護業界ではいまだに書類の作成を手書きで行なっていたり、データを書類で管理している所が数多く存在します。
IT業界などと違い、その分野に詳しい知識を持った人がいないため、ITシステムの導入が遅れているという施設も多いでしょう。
ただ、人材が少ない状態で業務を行なっていくには、IT技術を導入して効率化を図るほかありません。
I T技術を導入することで、利用者情報を自動でまとめたり、クラウド上で管理できるようになるなど、今までのように書類作成に長い時間を取られることもなくなります。情報共有やデータの取得なども、IT技術を導入すれば容易に行えるようになります。
また、見守りシステムなどの介護ロボットの導入も効果的です。
介護ロボットを導入することで、業務の効率化や負担軽減が期待できるので、従来よりも労働時間を減らし、より少ない労力で業務が可能となります。
長時間労働や重労働が問題とされている介護業界ですが、こういったものを導入することで、すぐに労働環境を改善できるので、ぜひ導入を検討してみてください。
近年はIoT技術の向上により、機械や設備との連携が取りやすくなっているので、あらゆる業務にITシステムを導入して効率化を図りましょう。
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外国人介護人材の受け入れをする
3つ目の対策は、外国人介護人材の受け入れです。
外国人介護人材の受け入れは、国の政策としても力を入れており、カンボジアやインドネシアなど各国の人材受け入れを検討しているので、政策が進めば業界内で人材を取り合うこともなくなるでしょう。
外国人介護人材は、技能実習制度などにより一定の水準をクリアした人のみとなっているので、優秀な人材を確保できる可能性が高くなっています。
もし、雇用期間中に介護福祉士の資格を取得することができれば、永続的に雇用することができるので、長期的に人材を確保することも可能です。
外国人の雇用にはハードルを感じる方も多いと思いますが、外国人雇用のサポートを行なっている企業などもあるので、企業のサポートを受け雇用に取り組むのも良いでしょう。
参考:厚生労働省「インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」
資格取得支援制度の導入
4つ目の対策は、資格取得支援制度の導入です。
資格取得支援制度の導入は、職員のスキルアップだけでなくモチベーションの向上につながります。
職員は、スキルアップはもちろん給与アップのために資格取得を行うため、支援があればとても魅力的に感じてくれるでしょう。
また、資格取得支援制度があるとわかれば、新卒の学生も良いイメージを持ってくれるため、人材の確保もしやすくなります。
職員のスキルが向上すれば、サービスの質が向上して介護施設としての評判も良くなりますし、資格保有者の数によって国から助成金を受けられるので、施設側もメリットを享受できます。
介護業界での人材不足を解消できた事例
介護業界で人材不足を解消するには上記のようにさまざまな方法がありますが、より短い時間で高い効果を得るには「見守りシステム」の導入が効果的です。
ここでは、見守りシステムがどういったものなのか、また、どういった効果が期待できるのかをご紹介しますので、システム導入のご参考にしてください。
見守りシステムの導入
見守りシステムとは、利用者のベッドや動線にセンサーを設置して、動向をチェックするシステムのことです。
センサーには、体重を検知するものや赤外線で動きを検知するもの、カメラで動向をチェックするものなどさまざまあります。
センサーを利用することで、利用者の動向を遠隔からチェックすることができるので、見回りに行く回数を減らし、他の業務へ時間を当てることができます。
また、システムを使うことで利用者の睡眠状況や、心拍などの状況をまとめてチェックできるので、データの取得にかかる時間などを減らすことが可能です。
取得したデータは自動で記録されていくので、書類を作成やデータ管理の手間も省くことができます。
このように、見守りシステムを導入することで業務の効率化ができ、事務作業などの時間を減らせるので、少ない人数でも十分業務を行えるようになります。
また、センサーによって客観的に利用者の状態を把握できるため、スキルの不十分な介護士でも適切な判断ができます。
人材が確保できない場合でも、このように業務効率化で問題を解消できるので、人材不足でお悩みの場合は「見守りシステム」の導入を検討してみてください。
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まとめ
介護業界で人材不足が起きている背景や、人材不足を解消するための対策を紹介しました。
少子高齢化が続く現代、業界イメージや環境改善を行うことはもちろん、IT技術や見守りシステムの導入も欠かせません。2つの方向からアプローチすることでより高い効果を得られるので、ぜひ試してみてください。