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介護におけるアセスメントとは?重要性や準備のコツを解説

介護におけるアセスメントとは?重要性や準備のコツを解説

介護職に就くと、頻繁に聞かれる言葉の1つに「アセスメント」があります。実はアセスメントと結びつきの深い業界は多く、人材マネジメントや看護など、介護業界以外にもその用途は多岐にわたっています。使われるシーンによって意味が異なるアセスメントとは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか。

ここでは介護業界におけるアセスメントについて掘り下げていきます。

目次

  1. 1.介護におけるアセスメントとは?
    1. 1-1.アセスメントとは?
    2. 1-2.アセスメントとモニタリングの違い
  2. 2.介護施設におけるアセスメントの重要性
  3. 3.アセスメントを実施する時のポイント
    1. 3-1.事前に情報収集をする
    2. 3-2.具体的な質問をする
    3. 3-3.アセスメントシートを作る
  4. 4.アセスメントシートとは
    1. 4-1.アセスメントシートを書く目的
    2. 4-2.アセスメントシートに書く内容
  5. 5.まとめ

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1.介護におけるアセスメントとは?

英語のアセスメント(assessment)を直訳すると、「評価」や「査定」という意味になります。つまり、人や物事を客観的に評価・分析すること。解決するべき課題を分析し、現場で何が求められているのか、正しく理解することを指します。

人材マネジメントにおいてのアセスメントは、人材のスキルや適性などを第三者が客観的に分析・評価することを意味します。それでは介護におけるアセスメントとは、どのような内容を指すのでしょうか。

1-1.アセスメントとは?

利用者の方が抱える心身の状態は、人それぞれ大きく異なります。同じ介護度の方であっても、介護職員は同じケアを行うわけではありません。要介護度に沿ってケアを統一し、画一的なサービスを行ってしまうと、その方にとって最適な支援ができないどころか、生活における自立度を下げてしまうことになるからです。

そこで利用者の生活状況やそれぞれの要望に応じたケアを行うため、必要とされるのが「アセスメント」です。介護におけるアセスメントは、利用者の身体機能だけでなく、その方が持つ価値観や考え方も含め、人間全体を捉えることになります。

つまり、介護におけるアセスメントとは、要介護者である利用者の悩みや希望、心身の状態、家族に対する思いや周囲の環境について詳しい情報を集め、適宜評価し、適切なケアをするために分析することを指します。具体的には、利用者本人や家族、主治医、担当看護師から直接ヒアリングをします。また利用者の価値観、これまでの生活歴などにも目を向けて、細部にわたって情報を集めていきます。質の高い介護サービスを提供するには、アセスメントのプロセスが欠かせないと言えるでしょう。

1-2.アセスメントとモニタリングの違い

アセスメントと似た意味合いに取られやすいのが、モニタリングです。アセスメントとモニタリングはしばしば混同されますが、異なる性質があります。

アセスメントの目的は、利用者の今の心身状態や生活のニーズを把握すること。そもそも利用者が介護サービスを利用する前に行い、介護事業者がケアプランを作成するために情報収集として行うものです。

一方、モニタリングの目的は、ケアプランの実施状況や改善点を推し量ることです。作成したケアプラン通りに介護サービスがなされているか。利用者やご家族の間に認識のズレが起きていないか。それらを確認するために行います。また、利用者の身体状況や生活の変化に応じて、ケアプランの修正をその都度行うことが必要です。

どちらもケアプランの作成や実施に関わる内容ですが、行うタイミングや目的が異なるため、違いを理解するようにしましょう。


2.介護福祉におけるアセスメントの重要性

前章で「質の高い介護サービスを提供するには、アセスメントのプロセスが欠かせない」と触れました。アセスメントで重要なのは、利用者に関する個々の情報を集めることではありません。さまざまな情報を関連づけて、それぞれ整理しながら利用者の人物像、全体像をつかむことです。

実際に利用者が望む生活とはどのようなものか。そのために本当に必要な支援は何なのか。それらを明らかにするのがアセスメントです。的確な介護を行う上うえで、最重要プロセスとも言えます。

質の高い介護サービスを提供するためには、アセスメントを行っただけでは不十分です。職員全員がケアプランの意図をきちんと理解し、内容を把握していることが重要です。このケアが今、なぜ必要なのかを理解する。それを徹底しないと、職員がそれぞれ自己判断でケアを行い、介護サービスにばらつきが出る恐れがあるからです。自己流のケアに陥らないように、プロ意識を持って質の高い介護を実施するためにも、アセスメントは重要なプロセスだと言えるでしょう。

ちなみにアセスメントは、ケアの過程で介護計画書を作成する際に介護職員が行う場合もありますが、主にケアマネジャーがケアプラン作成のために行います。


3.アセスメントを実施する時のポイント

アセスメントを行う際に大切なのは、利用者やご家族と信頼関係を築きながら情報収集することです。ここでは質の高い介護サービスにつなげるためのアセスメントのポイントを3つ紹介します。

3-1.事前に情報収集をする

事前の情報が何もないまま、利用者やご家族にいきなりヒアリングをしても、適切な情報はなかなか集まらないでしょう。利用者、ご家族双方の精神的、肉体的な負担を減らす意味でも、基本情報は予めさまざまなところから収集しておくことが大切です。具体的な収集先は主治医や看護師はもちろんのこと、地域包括支援センターや居宅介護サービス事業所、リハビリを行っている場合は理学療法士など多方面から収集します。必要な情報を詳細に得るためには、専門家との連携は欠かせません。

ただし他者から得た情報には、その人の価値観がそれなりに含まれています。全てを鵜呑みにすることなく、必ず自分の目で確認しながらアセスメントをするようにしましょう。

その他に在宅でセンサーマットなどのICT機器を利用している場合は、その情報も収集しましょう。

3-2.具体的な質問をする

利用者や家族の要望や抱える悩みなどを把握するには、対面で具体的な質問をすることが求められます。前のパラグラフで紹介したように事前情報を要点ごとにまとめ、できるだけ利用者の本音を引き出すような質問を投げかけるようにしましょう。

質問は「はい」「いいえ」で答えられる簡単なものから始めて、最終的に「どうしてそう思ったのですか?」「食事について、今はどのような不安がありますか?」などと掘り下げた問いかけをすると、利用者本人もご家族も答えやすくなります。

例えば朝食について聞くとしましょう。「●●さんは朝食を食べていますか?」という質問では、食事に関する充分なアセスメントにはなりません。もう少し具体的にするのです。「朝食はだいたい何時頃食べていますか?」「食事の準備はご自身でされているのですか?」。内容を掘り下げていくことで、利用者の具体的な生活の把握につながります。そのほか「どれくらいの大きさのお茶碗を使っていますか?」など、具体的な食事の目安を示していくと、さらに質問に答えやすくなります。

質問者の心構えとしては、一方的に質問を重ねるのではなく、利用者のことを家族と一緒に考える伴走者という意識を持つとよいでしょう。

3-3.アセスメントシートを作る

アセスメントシートとは、アセスメントでヒアリングした内容をまとめるためのものです。フォーマットは介護施設や事業所ごとに異なり、ヒアリングの内容をもとにケアプランが作成されていきます。

ケアプランの原案になる内容ですから、当然介護の方針や利用者の今後の目標設定にも役立ちます。また利用者の身体状況や生活環境、要望が把握できるため、他の介護スタッフや専門職との情報共有にも利用されます。介護サービスの質を向上する点において、重要な手がかりになるでしょう。


4.アセスメントシートとは

前章でアセスメントシートとは、ケアプランの原案になるものと説明しました。そのため、利用者がどのような背景を持つ人なのか、どのような支援を必要としているのかを、アセスメントシートには簡潔にまとめることができます。

4-1.アセスメントシートを書く目的

アセスメントシートの意義は、利用者やご家族からヒアリングした内容をまとめることです。そのためアセスメントシートを一目見るだけで、利用者の現在の心身の状態、ご家族の背景、現在の日常生活の状況などがつぶさにわかる内容になっているのが理想です。ケアプランを作成する際に、利用者との最初の面談などでも利用されます。

4-2.アセスメントシートに書く内容

アセスメントで集めるべき情報については、厚生労働省 から下記の23項目が示されています。

課題分析(アセスメント)標準項目

★基本情報に関する9つの項目

・利用者の受付情報や基本情報、利用者の家族などの情報

・生活状況

・利用者の被保険者情報

・現在利用しているサービスの状況

・障がい 老人の日常生活自立度

・認知症である老人の日常生活自立度

・主訴(利用者及びその家族の主な訴えや要望)

・認定情報(要介護区分など)

・課題分析(アセスメント)理由


★基本情報に関する9つの項目

・健康状態(既往歴、主傷病、症状、痛みなど)

・ADL(寝返り、起きあがり、移乗、歩行、着衣、入浴、排泄など)

・IADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況など)

・認知(認知能力の程度)

・コミュニケーション能力

・社会との関わり

・排尿・排便

・じょく瘡・皮膚の問題

・口腔衛生

・食事摂取

・問題行動

・介護力(介護者の有無など)

・居住環境(住宅改修の必要性など)

・特別な状況(虐待、ターミナルケアなど)

アセスメントシートを使うと、上記23項目がもれなく記入できるようになることから、ヒアリングすべき情報の偏りや漏れを防ぐことができます。ただしアセスメント当日に全項目を埋めるのは難しいでしょう。

避けたいのは項目を埋めることに囚われ、アセスメントでいきなり質問攻めにして、利用者やご家族に警戒心を持たれてしまうことです。アセスメント後もケアプランの提案やモニタリングなどで、ヒアリングの機会は続いていきます。何回も機会を利用して、利用者、ご家族との信頼関係を築きながら、時間をかけて全項目を埋めていくように心がけましょう。


5.まとめ

「アセスメントを実施するポイント」の章で、アセスメントに臨む前に、主治医、看護師、理学療法士など、連携する専門職から事前情報を収集することを記しました。しかしアセスメントシートに記入する際は、利用者本人からヒアリングした内容を中心に記入するようにしましょう。利用者以外から得た情報を中心にシートに書いてしまうと、利用者本人にとって適切なケアプランが作成できなくなるからです。

またアセスメントシートを見るのは、ケアマネジャーだけではありません。介護の仕事は多職種との連携が重要です。誰が見てもわかりやすく、利用者の状況が一目で理解できるように書くことが求められます。

・5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を理解する

・主観的事実と客観的事実を区別して記入する

・どこまでは1人でできるのか、どこから1人でできないのかを書き分ける

・本人が拒否していることと、実はできるのにしていないことの区別を明確にする

・現状抱える問題→原因→リスク→対策 の流れで記す

・主語は具体的に記す。例えば、「息子」ではなく「長男」など。

・略称で書かず、正式名称で記入する

現状利用者が抱える問題、5W1Hの記入において、ICT機器を使用している場合は、そこで得られた内容も記すようにしましょう。トーテックアメニティの「見守りライフ」は、利用者のベッド上の状態を1分毎に記録しています。センサーから取得した情報はグラフと表で可視化され、「生活リズムグラフ」「夜間の体動グラフ」「統計データ」「バイタルグラフ」として確認できます。

事前の聞き取り調査で分からなかった情報をここで得ることも可能です。

夜間にどうしても起きてしまう、徘徊などの傾向がある利用者の行動がつぶさにわかります。見守りライフを使用することで、アセスメントシートの1つの記載内容になるでしょう。

 

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