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【介護用語】離床と臥床の違いとは?介助のプロセスも徹底解説

【介護業界用語】離床と臥床の違いとは?離床介助とそのプロセスについて解説

離床介助の重要性とその影響について解説。身体的・精神的健康と生活の質(QOL)の向上、予防的な効果、そして個々の介護ニーズへの対応について詳しくご紹介します。

介護施設での離床と臥床の適切な管理の必要性についても考察します。

【介護用語】離床と臥床の違いとは?介助のプロセスも徹底解説

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1.介護施設における離床とは

介護業界の一般的な用語である「離床(りしょう)」とは、寝ている状態から起き上がり、例えば、食事や入浴のタイミングなどでベッドを離れることを指します。

離床は日常生活における重要な活動であり、介護士による身体的なリハビリテーション(リハビリ)の一部でもあります。筋力の回復、循環系統や呼吸器系統の改善が期待できます。

定期的な離床は、筋力や関節の可動性維持につながります。寝たきりでいると、筋力の低下や関節のこわばりが進行し、日常生活に必要な機能が低下してしまいますが、離床により、それらを防ぐことができるのです。

長時間寝たままでいると、血液の循環が悪くなり、これが、血栓や褥瘡(床ずれ)を起こす原因となります。そして、全身へ栄養や酸素が十分に供給されなくなることにより、心臓への負担が増大し、心疾患のリスクも高まります。

離床して体を動かすことで、血液の循環が促進され、健康状態が維持されます。

離床を促すことは、身体的な健康だけでなく、精神的な健康と生活の質(QOL:Quality of life)の向上にも貢献します。

ベッドを離れて動くことで、孤独感の低下や、鬱病の予防、自己肯定感の増大といった影響をもたらすことが考えられます。また、他者との交流が増えることで、生活の質(QOL)も向上します。


2.離床と対義後の臥床との違い

「離床」と「臥床(がしょう)」それぞれの用語の違いは何でしょうか?それぞれ介護や医療の現場において使われる言葉で、身体活動状態を表しています。


一般的に、「離床」はベッドから立ち上がって活動することを指し、「臥床」はベッドなどに寝ることを意味します。

「離床」とは

離床」とは、ベッドから離れて起き上がることを意味します。

離床が可能となるのは、身体機能が一定の水準を維持しており、日常生活活動(ADL:Activities of daily living)をこなせる人です。離床はリハビリ(リハビリテーション)の一部でもあり、体力の回復や生活能力の再建に役立つとされています。

「臥床」とは

一般的に「臥床」は、ベッドなどに寝ること、横になっていることを意味します。

病気や怪我、加齢などによって身体機能が低下すると、起き上がることが困難になります。その結果、起床の時間が短くなっていき、体を使った一連の動作が難しくなってしまい、長期にわたり臥床状態になってしまうことがあります。その場合、日常生活活動(ADL)の大部分において看護師や介護福祉士の援助が必要となります。

介護の目的とアプローチ

離床と臥床はそれぞれ異なる目的を持っています。

離床の主な目的は、利用者の体力や生活能力の維持、血液循環の促進、排泄の支援などです。

一方、臥床は、病気の回復や安静、あるいは症状の緩和を目的としています。また、身体能力的に起き上がることができない場合にも、臥床の状態となります。

また、離床と臥床では、介護のアプローチにも大きな違いがあります。

離床支援では、介護者は利用者の起き上がりや移動を助け、利用者が自立して生活活動を行えるよう支援します。

一方、臥床状態では、介護者は利用者の快適さや身体的なサポートに重点が置かれます。体位の変更やマッサージによる血行促進など、身体の機能維持や快適さを保つためのケアが必要です。

離床と臥床は、利用者の状態やニーズに応じて柔軟に適用されます。介護の現場では、利用者の状態を評価し、適切な介入を行うことで、利用者の健康と生活の質(QOL)を最大限に向上させることを目指します。


3.離床介助による効果


離床介助は、寝ている状態から起き上がることを支援する重要な介護・リハビリテーションの一部であり、さまざまな効果をもたらします。

ベッドに長時間横たわっていると筋力低下、血流悪化、循環器や呼吸器系統の問題など、リスクが増大します。離床介助は、このようなリスクを軽減します。

身体的な健康状態の維持・改善、精神的な健康の向上、社会的な交流の促進、日常生活活動の自立支援、適切な姿勢の維持といった点から見ても、離床介助の役割は重要であり、利用者の生活の質(QOL)の向上に大きく寄与します。

また、介護者にとっては、利用者の健康状態をより良く理解し、適切なケアを提供するために役立ちます。

つまり、離床介助は、身体的、精神的、社会的健康の向上、自立した生活の促進、そして介護の質の向上に貢献するのです。


4.離床介助ができない場合のリスク


離床介助ができずに臥床状態が長期化すると、さまざまな身体的、精神的、社会的なリスクが生じ、介護者にも影響を及ぼします。

身体的には、筋力の低下や筋萎縮、骨密度の減少が引き起こされます。これらは転倒や骨折のリスクを高め、日常生活活動(ADL)の能力を低下させる可能性があります。

また、血液循環が悪化し、酸素や栄養素の供給が不十分になり得るため、血栓の形成、肺炎、褥瘡(床ずれ)、便秘、尿路感染症などのリスクも高まります。

さらに、長時間同じ体位でいると体の特定部位に圧力がかかり、床ずれが発生する危険性も高まります。

口腔ケアの困難も問題です。臥床していると正しい姿勢での歯みがきやうがいが難しくなり、虫歯や歯周病など、口腔内の健康に影響を及ぼす可能性があります。

また、社会的なリスクとして、長期間の臥床は社会的な孤立を引き起こす傾向が見られます。他者との接触やコミュニケーションの機会が減少し、社会的なスキルや関係性が低下することがあります。

精神的なリスクも無視できません。長期間の臥床や社会的な孤立によって、孤独感、うつ病、不安、自尊心の低下などが引き起こされる場合があります。

介護の質についても注意が必要です。臥床状態が続くと、介護者の負担が増大します。身体的な介護(移動介助、衛生管理など)に加えて、精神的な支援も必要となるためです。

これらのリスクは、利用者一人ひとりの状態によって異なります。介護者はリスクを最小限に抑えるために適切な措置を講じなければなりません。


5.介護施設での離床介助とそのプロセス


介護施設における離床介助は、利用者の生活の質(QOL)を向上させ、身体的および精神的な健康を維持するために極めて重要なプロセスです。このプロセスは、詳細なアセスメント、綿密なプラン、適切な実施とモニタリング、そして状況に応じた評価と調整から成り立っています。

アセスメント

アセスメントでは、介護者は利用者の身体的な状態と能力、以前の活動レベル、現在の医療状況を評価します。これに基づいて、介護者は利用者がどの程度の援助を必要とし、どのくらいの頻度で離床すべきか、どのような活動を行うかを計画します。

実施とモニタリング

実施とモニタリングの段階では、利用者の安全が最優先です。介護者は適切な援助技術を用いて、利用者が不安を感じないようにします。また、離床時の利用者の反応をモニタリング・記録し、必要に応じて介助の手法や計画を調整します。離床介助後には、利用者の反応と進行を評価し、その結果に基づいて計画を再調整します。

これらの一連のプロセスにおいては、介護者の熟練した技術と注意深い監視が求められます。さらに、離床介助は一度限りのイベントではなく、継続的なプロセスであり、利用者の状況に合わせて行われなければなりません。

つまり、利用者の状態に応じた個別のアプローチが必要だということです。例えば、筋力が若干低下している場合や身体的な制約がある場合、介護者は利用者が自身で立ち上がる能力を最大限に活用するよう適切にサポートします。適切な筋力トレーニングやエクササイズのプログラムを組むことも重要です。


認知症や認知機能の低下がある場合には、介護者はコミュニケーションや指示の方法に工夫が必要となります。簡潔で明確な言葉や視覚的な手順の提示、優しい声掛けやリラックスした雰囲気の提供が求められます。

また、転倒リスクが高い場合には、介護者は利用者の周囲に安定性を確保するための手すりや滑り止めマットを配置します。必要に応じて歩行補助具やベルトを使用してサポートすることもあります。また、夜間の就寝時には特に転倒リスクが高いため、定期的に部屋へ訪問し、状態の確認が必要になります。


介護施設における離床介助は、利用者の安全と快適さを考慮しながら、自立した日常生活を支援するための重要な活動です。利用者一人ひとりの状態やニーズに合わせた適切な介護プランを立てたうえで、介護者の経験と専門知識を活かして、利用者が心身ともに健やかな生活を送れるようにサポートします。


6.まとめ


本記事では、介護施設における用語、「離床」の重要性とプロセスについて説明しました。離床介助は、利用者の身体的、精神的健康と生活の質(QOL)の向上に寄与します。

介護者は、利用者の身体機能や精神状態、社会的状況を考慮し、安全で適切な離床支援を提供します。その過程で、身体機能の回復や生活能力の再建、社会的交流の促進、心の健康の改善などが図られます。

このような成果を得るためには、介護者の経験と専門知識が不可欠です。利用者一人ひとりの状態を理解し、適切なケアプランを立て、快適で自立した生活の支援を行うことで、介護の質を向上させることができます。利用者の健康と生活の質(QOL)を高めるために、離床介助は重要な役割を担っています。


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